<明治安田J1:東京1-0東京V>◇15日◇第29節◇味スタ
白熱した東京ダービーに敗れた東京ヴェルディDF谷口栄斗(26)は、勝てないもどかしさや悔しさと懸命に闘っていた。
試合後、ミックスゾーンで開口一番こう口にした。
「ダービーに限らず、勝たないと評価されない世界なので、負けて悔しいというか…、FC東京のみなさん、おめでとうございますという感じですね」
試合では激しく相手と肉弾戦を繰り広げた。ヴェルディのアカデミー出身で、その時代からFC東京は負けてはいけない因縁のライバルだった。その相手に屈した。歯がゆさ、もどかしさ、悔しさ、情けなさ…、さまざまなネガティブな思いが混ざり、すぐに消化できるものではなかった。
失点場面は相手GKからのロングフィードをFWマルセロ・ヒアンに頭でスラされ、入れ替わるように後方から走り込んだFW長倉幹樹に鮮やかなループシュートでゴールを奪われた。
「あの場面はチームとして一瞬、気が抜けてしまってコンパクトさを保つことはできずに、簡単に失点してしまいました。一瞬のスキを作ってしまった僕たちの責任でもあります」
チームは4試合勝ち星なし(1分け3敗)。しかもすべてノーゴールという状況だ。
「雰囲気だったり圧力っていうのに簡単に負けてしまう場面っていうのが多かったので、甘いと思いますし、そういった球際の部分で負けていたら五分のボールもほぼほぼ相手になっていたと思いますし、そういったところが得点につながらない要因の一つでもあると思う。甘さ、そこを見直さなければいけないかと思います。弱いですね、シンプルに」
いつもは慣れ親しんだホームの味スタが、この日はFC東京のホーム。若い東京Vに対し、相手は長友ら百戦錬磨のベテラン選手がそろっている。ただ自分たちも昨季J1で6位と躍進した経験からして、言い訳にはできない。
負けられない者同士-。後半45分にはFC東京側のファウルを発端に両チームの選手が入り乱れ押し合う事態に発展した。互いの意地が激しくぶつかり合った場面だった。
「意地というか、試合に出られるのは当たり前じゃないですし。出たからにはやっぱり出し切らないと。メンバー外の選手に、やっぱりあいつを出して良かったとか思われたいし、サポーターもそういった選手が出て欲しいと思います。僕は今日出し切ったので別に悔いはないし、心残りはないです」
試合後はゴール裏のサポーターに先頭を切って向かった。ただ「心残りはない」としながらも、モヤモヤ感は拭えていなかった。
「このチームの今の状況は、自分が失点に絡まなければいいとか、他人任せなところが多少なりともあると思う。僕は別に批判を浴びてもいいですし、それぐらいの覚悟で今日もやったので。だから別に心残りなくサポーターのところに一番に行きました」
城福監督は会見で「名前負けした前半」と口にした。キャリアの浅い選手が多いチーム事情ゆえ成長途上にある。それを踏まえ、リーグ終盤戦で何が大事になってくるのかと問われると、こう回答した。
「本当にこの世界で生きていくっていう気持ちじゃないですか。なんとなく過ごしている選手が多いと思いますし、本当に痛い目に合うのはすぐだと思うので、全員が気づく必要があるかなと思います。名前負けとか言われて、悔しくないのかなと思います、僕は」
残り9試合、気が付けば順位は16位へ後退。厳しさが増す残留争いにあって、より危機感をあらわにした。【佐藤隆志】