2季連続のJ1残留へ大きく前進した東京ヴェルディ城福浩監督(64)が8日、東京・稲城市のクラブハウスで取材に応じ、前節・湘南ベルマーレ戦(3日・レモンガスS)勝利の舞台裏を明かした。
後半10分にFW染野唯月が挙げたゴールを守り抜き、1-0と制した。リーグ最多となる今季15試合目の完封を飾ったのがGKマテウスだった。
そのマテウスは試合の2日前に持病の腰痛に見舞われ、1人で歩けないほど状態は悪かった。しかしメディカルをはじめスタッフの尽力で奇跡的に試合に間に合い、いつもと変わらぬ様子でプレー。ピンチもあったが、シャットアウトしてみせた。
マテウスの起用に至る決断を問うと、こう明かした。
「もちろん最後は彼じゃない選択肢もありました。前日の感触でいけそうだと。ただ、そこまでほとんど動けていないんですよ。なので試合当日に我々が泊まっているホテルの近所の芝生のグラウンドというのを前日、探しに探して。しかも金曜日(3日)午前中に無理やり開けてもらって、車で20分かけて行って、そこで体を動かして最後にやれるとなった。なのでコーチングスタッフの人脈を使い、マネージャーに動いてもらい、試合当日の午前中に体を動かした。それも芝生のグラウンドじゃないといけないので、それをアウェーの地で探すのは至難の業なんですよ。午前中のこの1時間だったら空いているというのを、空けてもらった。本当にみんなの努力の賜物です」
結果次第ではJ1残留争いに巻き込まれるかもしれない大一番。試合当日の最後の最後まで体の状況を見極め、その懸けに勝った。
総力を尽くした戦いの中、攻撃のキーマンが結果を残した。ここまで持ち味の得点力を発揮できず苦しんできた染野が、MF松橋優安のクロスボールを頭で押し込み、今季5点目となるゴールを奪った。
「9番」としての仕事を果たした染野について、城福監督は「彼は左右の一振りもありますし、ヘディングもある。そのヘディングって意味では彼の入っていくタイミングとかポイントというのは、なかなか教えられないものを持っている」と言う。
その染野の特長を生かすべく、ニアゾーンを突く動きやペナルティーエリア周辺でどういうボールを意識するのかっていうのを事細かくトレーニングしていた。それを踏まえ、指揮官はこう語った。
「僕らは(松橋)優安のクロスをフワリという呼び方をしているんですけど、フワリという呼び方で何年やってきたか。あのシーン、あのエリアになったらフワリだというのが恐らくあの瞬間に絵が描けた。あそこはフワリしかない。そういう擦り込んできたことが、クロッサーも中に入る人間も意思統一ができたということと、もう一つは(エリア内に多くの)人数が入っていくことができた。だから最後に染野のところでフリーになれるというか。これは今チームが取り組んでいる中の一つの大きな手応えだと思います」
マテウス、染野という最後尾と最前線の役者がそろい、残り5試合で勝ち点は39まで伸ばした。17位横浜F・マリノス、18位横浜FCとは勝ち点8差。代表ウイークの中断期を経て、次節18日の20位アルビレックス新潟戦は、J1残留をほぼ確実にする上でも勝ち点3が求められる。
ここまで下位チーム相手に確実に勝ち点を重ねてきた。しかもホームの味スタとあって、サポーターの声援も力により気持ちが入る。
「次に絶対、勝たないといけないと思っています。おそらくは常識的に考えて、次の勝ち点3というのが、我々が26年5月までどのステージまでやる勝ち点3になる。数字的には、勝ち点3を取ったからって決まらないと思いますけど、実質的には次の試合の勝ち点3が大きなポイントになる。それを我々が得られるか、と言えば次しかないんですよ。次に得られれば、もっといろんなチャレンジもできるでしょうし、もっと我々が表現したいことが追求できる」
J1残留が決まれば、残りの試合はシーズン移行でイレギュラーなシーズンとなる来季へ、より攻撃的な戦い方にも舵を切れる。
「次に勝ち点3取ることしか考えていないし、ここまで味わってきた(今夏の移籍での)メンバーの出入りを含めた悔しさっていうのは現場が一番よく分かっている。あと全部勝つつもりでやる。残留はほぼ手中に収めた上でもっとチャレンジさせてやりたいという思いがあるんで、次ですね。勝ち点3しか考えていない」
繰り返し新潟戦の勝利を口にした。【佐藤隆志】