FC町田ゼルビアが、アジア・チャンピオンズリーグ初出場初優勝に挑む。アルアハリ(サウジアラビア)との決勝(25日=日本時間26日午前1時15分)を前に、黒田剛監督(55)がオンラインで日本メディアに対応し、偉業に挑む心境について語った。
開口一番、こう話した。
「やっと、ついにっていうか、ここまで来たなというような、そういった気持ちと、最後1試合、すごい状況にはなると思うんですけどね、その中で本当に冷静に選手たちが奮闘してくれるか、その準備をどれぐらいできるかっていうところ。結果は後からついてくるものなので、後悔なく戦いたい。いい準備ができるように、今からしっかりとマネジメントしていきたい」
決勝戦のポイントは何か? 会場のキング・アブドゥラー・スポーツシティ・スタジアムについて語った。
「まずはメインのスタジアムに関しては、もう芝は大荒れなので、ボールが落ち着かない時間、それからスリップはかなり予想される」
6万2000人収容の試合会場は満員、完全なるアウェーとなる。
「この間の神戸の試合も見てきたけども、その時の圧力たるものはちょっとJリーグとは違う迫力とか、いろんな罵声も含めて、すごい盛り上がりを見せたので。それを受けながらの戦いになるので、精神的なところも含めて心技体において準備をやっていかないと、完全にのみ込まれて終わるような状況も想定できる。そこはしっかりとこれからミーティング、トレーニングを通じて選手たちにも落とし込んでいきたい」
準決勝のシャバーブ・アルアハリ(UAE)戦前日の練習前、負傷離脱から復帰するFW相馬に「勇紀が町田のエースだからやってくれ」と厚い信頼の言葉を託した。結果、相馬の決勝点で1-0と勝利した。
-相馬にエースと言葉をかけて送り出した
「すごく難しい選択ではあったんですけど、相馬という1人の強力なゴールを目指す選手は、これまでも町田が本当に苦しい時を救ってくれた選手で1人でもあるし、また彼のキックはこのステージでも必ず通用するものだとも思っていた。まず1つやれるところまでは、彼を送り出して、信じてやろうと思った」
2戦連続の1-0(ウノゼロ)勝利。町田自慢の守備戦術「カテナチオ」が決まっている。
「ここまでずっとやってきたものに疑いはなかったし、いろんなことをチャレンジすることによって個人的に出たミスであったり、または集中力が切れたりの修正だったので、我々が今チャレンジしてること、または我々のコンセプトは、もちろんJリーグでも通用する。むしろそれがすごく強く生きるコンセプトだというふうに自分たちも理解しながら選手たちも取り組んでいた。ここ数試合のところでしっかりと整理をして、チームみんながそれを理解し繰り返すことによって、クリーンシートっていうものが生まれる」
一方で2試合連続して終盤に失点したが、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)によってゴールは取り消されている。紙一重の勝負をうまく切り抜けているのも現状だ。
「決勝まで無失点でいけるかは何の確信もないし、VARで助かっている場面もあるので、確実性があるかどうかというと、まだわからないですけど。我々のストロングとして、ゼロで推移しながら、守から攻のところで得点を奪っていく、またはリスタートから点数を取っていくという我々のサッカーは、全面的に押し出していくことによって結果がついてくるんではないかなと感じています」
黒田監督と言えば、高校サッカーでタイトルを次々と獲得してきた勝負師。その青森山田高時代のことを今大会に重ね、こう話した。
「2016年の選手権の初優勝、いろんな本当に苦労があって、挫折があって、本当に我々は優勝できるのかどうかっていうことですごく苦しんでいた時期となんか似ているような感じがある。今回のACLEも初めての挑戦で、我々町田ゼルビアというのはどこまで這い上がっていけるのか、アジアの中東レベルでどれぐらい我々が通用するのかっていうところもね、すごくいろんな意味で不安もあったんだけど、まさに初めての挑戦っていうところの比較で言うと、そんな心境ではあるなと」
3年前にはJ2を戦っていたクラブが年々ステップアップを果たし、ついにアジアの頂点を狙う。アルアハリはサウジアラビアが国家プロジェクトとして莫大(ばくだい)な資金力のもとに強化しているクラブの1つ。連覇を狙う立場でもある。ただ、町田もファイナリストとしての自負を持って戦い抜く。
「ここまである程度の手応えを感じながら、本当に堂々と戦えるという気持ちもあるし、もちろんメンバー的には個人も含めて相当レベルの高い選手たちが、ゴロゴロといる相手ですので、そこに臆することなく戦うというところはブレずにやっていきたいと思うし、クラブの市場価値であったりとか、選手の年俸だったり、もうちょっと考えられないぐらいの差はあるにせよ、そういうことを考えずに我々の持っている力が、組織というものをしっかりと全面的に出しながら戦えればなというふうに思う。今もうここまで来たのでね、清々しい気持ちで戦いたい」
元高校教員。異端の指揮官はチャレンジャーとして、気負いなく決勝の舞台に立つ。