【ダラス(米国)13日(日本時間14日)】日本代表(FIFAランキング18位)の森保一監督(57)がW杯北中米大会の1次リーグ初戦オランダ戦(同8位)前日の公式会見で目を潤ませた。試合4日前にMF遠藤航主将(33=リバプール)の離脱を決断。その経緯について質問が飛ぶと、異例の謝罪をした。非情ともとれる判断の裏には日本の勝利のため、という貫き続けた信念があった。長きにわたって共闘してきた愛弟子であっても私情に左右されることはない。全てを懸けて、大舞台へ挑む。
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まるで選手変更の説明会見のようだった。森保監督が顔を赤くし、目に涙を浮かべる。遠藤に離脱を通達した時の様子を問われ「自分が本当にひどいことを選手に伝えているなということを思っていた」と声を震わせた。
「航が傷つくことはもちろんですけど、航が大切にしている家族であったり、応援している方々であったり、本人だけじゃなくて本当に多くの方々を傷つけるようなことをしてしまったということは、私自身申し訳ない思いで、謝りたいと思っています」
オランダ戦を翌日に控えた公式会見の中で、異例ともいえる謝罪。空調音が無機質に大きく響いた。
ギリギリの決断だった。遠藤は2月中旬に左足甲の靱帯(じんたい)を痛めて、実戦復帰したのは5月31日のアイスランド戦。しかし、そこで違和感が出てからは、時間との闘いだった。「W杯で初戦、そして全体を通しても100%でプレーすることが難しい」。医療スタッフの意見も聞き、監督自身が総合的に判断した。
遠藤とはコーチとして参加した18年のW杯ロシア大会から共闘。21年の東京五輪ではオーバーエージとして呼び寄せ、22年W杯カタール大会後は主将に任命してチームを作ってきた。それでも日本の勝率を1%でも上げるために、特別扱いはしなかった。
指揮官は選手へのリスペクトを欠かさなかった。これまでも試合前夜にはベンチを外れるメンバー1人1人の部屋に説明して回った。5月15日のメンバー発表会見では、外れる選手のことを思い浮かべて目を潤ませた。その誠実な対応が求心力を高めた。
今回の遠藤も取り乱すことなく冷静に受け止めていたという。試合4日前の主将外し。ともすればチームが崩壊しかねない決断を、情に流されることなく下した。「選んだ26人が今の日本のベストなメンバーとして、世界に挑みたい」。全ては最高の景色を見るために。勝ちに徹する勝負師・森保一が集大成のW杯に臨む。【佐藤成】