5月にアジア・チャンピオンズリーグ2(ACL2)を制したガンバ大阪が、激震の中で動き出している。
移行後の新シーズンに向けて、チームは5~18日の日程でオーストリアキャンプを実施。選手やスタッフは現地入りして始動しているが、指揮官不在という異例の状況でのチームづくりを余儀なくされている。
クラブは6日に、イェンス・ビッシング監督(38)が海外クラブとの契約に向けた手続きのためチームを離脱したと発表。
キャンプにも同行しておらず、ハリー・プファルコーチ、ティモ・ローゼンベルグフィジカルコーチも同様にチームを離れていることが明らかになった。
サウジアラビアメディアなどによると、ビッシング監督は同国1部アルイテハドの監督就任が迫っていると報じられている。
指揮を執るはずだった監督が始動直前にチームを離れるという異常事態について、三上大勝フットボール本部長(54)が8日に状況を説明した。
「先週、急きょ(先方の)クラブ側から我々クラブに正式なレターが入ると同時に、監督サイドからも私の方に連絡がありました」と、正式なオファーが届いていることを認めた。
クラブとしてはビッシング監督で新シーズンを戦うプランだったため、当然のように慰留。「クラブとしてイェンス監督を招集したところから始まっているプロジェクト。一緒に引き続きやっていこうということで、私としてはクラブを代表して慰留をさせてもらった」と対話をしたが、その思いは届かなかった。
中東からのオファーに乗り気のビッシング監督は、G大阪での継続に興味を示さなかった。「監督サイドから、例えば今回外部からの評価を得たので、自分自身の評価をガンバとして見直してもらえないかという話があれば、クラブとしてポジティブにそういうことを検討したいとは思ったが、残念ながらそういった経緯もない中で『このチャンスを生かしたい』ということだった。監督の中ではもう別のビジョンが描かれてしまっているんだなと感じて、週末の段階でこれは難しいと、スタッフ及び選手に事情説明をし、今日を迎えている」。先月から現地メディアで報道されていたこともあり、一部の選手は最悪のケースも想定していたようだが、正式にクラブから伝えられて動揺があったことは間違いない。
監督が不在となったことは、新シーズンを戦う編成面でも影響を及ぼすことになる。「基本的なスタンスとして、中長期的な部分でクラブとして譲れない3割と、一方では明日の試合に勝たなければいけないという現場の意向で、比率的には3対7ぐらいのものをもって話し合おうということを、監督にも話をして進めていた」という通り、7割が監督の意向に沿う形。「影響がないと言ったら、それはうそになる」と実情を漏らした。
暫定的に明神智和コーチ(48)主導でチームづくりを進めることになるが、後任人事については幅広い選択肢をもって着手。「国内外問わず、まず重要なのは、このクラブのビジョンであったり方向性に共有、共鳴をしていただけるのかというところが重要。百年構想リーグで築いてきたガンバのサッカースタイルが出てきていると思っているので、それを継続してやっていけることも含めて、人選を進めていきたい」とした。
百年構想リーグでベースをつくり、新シーズンでのタイトル獲得を目指した矢先での監督離脱。「このガンバというクラブが世界に指導者、選手をきちんと提供できる、逆に声をかけてもらえる、そういうクラブにするための第1歩としてもイェンス監督を半年前に選ばせていただいた」という狙いが、皮肉にも最悪のタイミングで実現することになってしまった。
ビッシング監督離脱の発表以降、クラブには多くの“売り込み”も届いているという中で、どんな決定をするのか。約1カ月後に開幕が迫る中で、ACL2王者にいきなり試練が訪れている。【永田淳】