<明治安田J1:東京V1-1川崎F>◇9日◇第1節◇味スタ
東京ヴェルディが、開幕戦勝利を目前で逃した。
鋭い出足とチーム一体となった組織的な守備。後半開始早々に鹿島から移籍したMF溝口修平が挙げたゴールも飛び出し、1-0とリードを保って後半45分を回った。
集中力は切れず、6分のアディショナルタイムも逃げ切るかと思われた。しかし後半51分、左からのクロスボールをゴール前でクリアに入ったMF平川怜がクリアミス。縦に大きく蹴り返そうとしたボールが逆に、後方へと転がり、FWロマニッチに流し込まれた。
あと1分足らずというところで、試合は振り出しに戻った。
超攻撃的な川崎Fのスタイルを想定通りに封じ、ゲームプランはほぼ完遂していた。アンラッキーともいうべきドローだが、悔やまれる結果となった。
会見に現れた城福監督の表情は厳しいものだった。
その最後の失点場面に触れて「最後のアディショナルタイムのあたりの時間の過ごし方とかは、まだまだこのチームは若いので、最後のところでどういうエリアでプレーをするべきか、どこまで変えるべきかっていうのは、ちょっとそこはまだ未熟さが出たかなというふうに思います」と悔しがった。
この日もハーフタイムに叱咤(しった)した。前半は粘り強く守ったが、少しボールを持たれすぎたことに業を煮やした。
「マイボールになってからのサポートが遅くて、ちょっと。そこはハーフタイムでかなり強く言い出した。怖がってんのか、疲れてんのか。やれないんだったら代わっててくれというぐらいのことを言いました」
そのゲキに選手たちは応えて開始早々に先制点を奪った。しかし追加点を奪えなかったことが、最後に勝ち点3を取り逃がす結果になったとも言える。
「(チームは)非常に厳しい開幕の状況だったんですけども、だからこそ覚悟を持たなきゃいけないと思いました。このメンバーの最大値が何なのかと、何の覚悟をしなきゃいけないのかと、何のリスクを防がなきゃいけんのかっていうのは思い悩む中で、メンバー決まった中で自分の中で整理できたつもりだったんで、その最大値さえ出せば、その覚悟さえ持てれば、変な試合にはならないだろうというふうに思ってました。それを見せられたかっていうとね、もっと見せられたとも僕は思いますけど」
開幕直前にボランチで起用したかったメンバーに負傷者が出た。この日は平川と食野壮磨がコンビを組んだが、まだ今季1回も試したことがない2人だったという。
「そういう意味ではけがの功名、このチームの最大値、このメンバーの最大値っていうところの覚悟は自分が持てなきゃ、おそらくこのチームを引っ張ることはできない。そこは毎試合メンバーは変わっていくかもしれないですけども、その覚悟は持ち続けたい」
開幕戦で格上の川崎Fから勝ち点3を奪えたら、今後を戦う上で大きな自信となっただろう。それだけに、むしろこの日の戦いぶりには手応えを感じても良さそうなものだが、当の城福監督の見解はまったく違っていた。
あるのは手応えでなく、危機感だった。
「課題はいくつかありますけど、2点目を取れなかったところ。後半は必ず走り勝てるっていうふうに思っていたので、あの展開で2点目が取れないんであれば、ゼロで抑えなきゃいけないし、プレーの選択の判断がどうかっていうところも」
そしてこう続けた。
「今やれることをやり切ったという意味ではポジティブとも言えますけど、やりきった上で勝ち点が1っていうのは、これ危機的状況でもあるんですよ。自分たちがフラストレーションを溜める、やりきれない思いで勝ち点3を取れるチームが一番強いんですよ。こんな内容でも勝ち点3を取るのか? っていうチームが一番強いんですよ。だから我々はもちろん手応えはありますけども、それは慢心にはまったくつながらない。危機感があります」
そこに一切の甘えはない。状況がどうであろうと勝負に生きるからこそ、妥協はしない。次につなげるためにも、反骨の指揮官は危機感を声高に叫び続ける。【佐藤隆志】