<明治安田J3:高知0-2熊本>◇30日◇第4節◇最終日◇ギケンス
被災地へ届くと信じて、ロアッソ熊本が念願の今季初勝利を挙げた。前半で2点リード。熊本地震発生から28日で1カ月が経過した中、高知ユナイテッドSCと敵地で対戦し、地元生まれの下部組織出身者が先制のV弾を決めた。
前半14分、熊本市出身のMF飯星明良(23)だ。ゴール正面で得た直接FK。多くの壁を前に左足を振り抜くと、ゴール右上に吸い込まれた。
「FKになった時点で決まったと思っていたので、自分を信じて、いつも通り決めました」
尊敬する元日本代表MF中村俊輔(現A代表コーチ)ばりの放物線で、自慢の同じ左足で、ネットを揺らす。小中学校時代はソレッソ熊本で育ち、ユースからロアッソへ移った男が、仲間と県民と喜びを分かち合った。九州産業大を経て昨季、熊本のトップチームに加入した飯星が、希望の星になるべく、復興への思いを利き足に込めた。
さらには23分、三品直哉(23)が追加点。同じ九州の鹿児島ユナイテッドFCから今季加入したMFが、右サイドから右足で蹴り込み、リードを広げている。
10年前に続き、再び最大震度7の地震に見舞われた熊本県内。チームは発生当時、練習中だった。8月5日に全体練習を再開したばかりだが、お隣の鹿児島県で生まれた片野坂知宏監督の下、熊本県民の思いを背負って調整。開幕戦のアウェーSC相模原戦、ホーム開幕の栃木SC戦ともに0-0の引き分け。勝ち点1ずつを届けてきたが、第3節の22日は本拠でAC長野パルセイロに0-1。初黒星を喫した後の高知戦で前半から躍動した。
震度7を観測した宇城市出身のルーキーDF薬師田澪(22)もベンチ入りし、一丸となって今季初の白星を目指した。見事、後半も無失点。四国まで駆けつけたサポーターが「熊本の笑顔の為 負けんばい!」と横断幕を掲げた中、選手たちも試合後に「全国のみなさまよりの 熊本へのご支援に感謝いたします」のバナーで感謝した。
殊勲の飯星は「素直にうれしい気持ちでいっぱいです」と神妙に語った後、続けた。
「僕らが。勝利で皆さんを元気づけたり勇気づけたりできると思っていた中で3試合、勝てなかった。地震で苦しんでいる方々に、なかなかいいニュースを届けることができなかった中で、やっと勝った…その勝利というニュースが、少しでも届けばいいかなと思います」
ゴールの後は、子供が誕生したドクターに向けて、全員で「ゆりかご」ダンスも。再起の1勝をつかんで次節はホームに奈良クラブを迎え撃つ。「やっぱりホームで勝たないといけないと思うんで、しっかりと、チームでまた強くなって勝利できるように頑張ります」と飯星は約束した。