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 クラブW杯:コリンチャンス1-0チェルシー>◇決勝◇16日◇横浜

 欧州王者チェルシー(イングランド)のエースFWフェルナンドトレスは、腕を組んでピッチに立ち続けた。歓喜の相手イレブンをじっと見続けた。DFダビドルイスはしゃがみ込んで泣き続けた。

 チャンスは作ったが、勝利の女神はほほ笑まなかった。1点を追う後半41分、フェルナンドトレスがGKと1対1の好機も、右足シュートはGKカッシオにセーブされ、同45分には、DFケーヒルがFWエメルソンを後ろから倒して1発退場。追いすがろうとするチームのムードに水を差した。

 ロスタイムには、MFオスカルの左クロスに再びフェルナンドトレスが頭で合わせるが、オフサイドの判定で万事休す。

 シュート数は、相手を5本も上回る14本。フェルナンドトレスは両チームで最多となる5本のシュートを放ったが、決定力を欠いた。試合後は無言で取材ゾーンを去った。ベニテス暫定監督は「コリンチャンスが良いチームだとは分かっていた。そういう時には1つのチャンスをものにできるかどうかが勝負の分かれ目。うちはチャンスを生かせなかった」と振り返った。

 今季限りでの退団が濃厚なベテランMFランパードが、ボランチとしてフル出場。「7、8週間ぶりのフル出場だったが、大丈夫だと感じた。大事なことは、よりよいプレーをするために努力をし続けること」。今後についての質問を受けると、「今は答えたくない」とだけ言った。

 ブラジル人のダビドルイスは「彼らの努力が報われたので、おめでとうと言いたい。悔しさは一晩泣いて過ごせば、次の日には忘れられる。明日は別の日だから」。悔いの残る世界2位。イレブンは銀メダルを首から下げたまま、足早にピッチを去った。【保坂恭子】