仙台DF上本大海(29)、MF松下年宏(28)、FW赤嶺真吾(28)の鹿児島実高出身トリオがそろって活躍を誓った。5日、鹿児島1次キャンプを高校時代の監督だった松沢隆司氏(71)が訪問。「当時はメチャクチャ怖かった」と声をそろえる恩師と和やかに再会を果たし、“鹿実魂”を再注入された3人が仙台を舞台に師の教えを体現する。

 午前の練習を終えた3人は、真っ先に松沢氏のもとへと集まった。穏やかな雰囲気さえ漂わせる恩師との談笑。上本が「高校の時は怖かったなんてもんじゃなかった」と言えば、赤嶺は「あんな風に監督と普通に話をするなんて、昔じゃ考えられない」と笑った。松下は高校時代とのギャップに驚きつつ「根性というか、メンタルが鍛えられた」と3年間を振り返った。

 鹿児島実総監督を昨年勇退し、現在は鹿児島県サッカー協会副会長を務める松沢氏。「仙台には(鹿実出身の)平瀬もいたけど、まさか3人がそろうとはね…」と感慨深そうに教え子たちを見つめた。特に上本と赤嶺は自宅に下宿させ、サッカー以外の部分まで面倒を見た愛弟子。「上本は利かん坊で何に対してもおびえない。赤嶺はお人よしでね。人のポジションを奪ってまでとか、そういう欲があるタイプじゃなかった。松下は主要なポジションはどこでもできる器用な子だった」と当時を懐かしんだ。

 松沢氏が徹底したのは「勝ち負けにこだわること」と「練習から絶対に手を抜かないこと」だという。赤嶺は「練習だけが厳しい名門校なら他にもある。でも、それだけじゃなかったですから」と話す。シビアな環境でたたき込まれた教えが、今なおプロの世界で生き残っていられる根底にある。そんな“鹿実魂”を持ち、年齢も近い3人が仙台に集まった。「3人一緒に試合に出て活躍できれば、監督も喜ぶはず」。赤嶺の誓いは全員の思いだ。【亀山泰宏】