タイトルにこだわる-。仙台のMF野沢拓也(33)が第2次宮崎・延岡キャンプ2日目の5日、ベガルタ2年目に懸ける思いを口にした。昨年8月に鹿島から加入した元日本代表は、仙台では初めてのキャンプ参加。若手の手本として、サッカーに対する意欲、勝利へ向かう姿勢を背中で示している。

 仙台の“ファンタジスタ”野沢が、延岡での第2次キャンプでも絶大な存在感を放っている。この日午前のフィジカルトレーニングでは、ハードな走り込みを全力でこなし、午後の戦術練習でも抜群のテクニックを披露。先頭に立って、若手らをけん引している。

 プロ14年間で何度も経験してきたシーズン前のキャンプだが、仙台では初めて。「十分な量と内容だと思う。体を痛めて取り組んだことが結果につながる」と黙々と練習に打ち込む。その姿勢や情熱には、渡辺監督も「フィジカルでも決して手を抜かず、昨年ヤナギ(柳沢)が示してくれていたものを伝えてくれている。頼もしい存在」と信頼を置く。

 「言葉より、プレーで感じてもらえれば」と背中で引っ張る。この日のゲーム形式練習で、野沢と両サイドでコンビを組んだMF奧埜は「必ずいいところにボールが来る。技術だけでなく、精神面でも勉強になる」と話した。

 昨年8月に鹿島から加入後、16試合2得点3アシストの数字を残して残留に貢献した。だが過去J1、天皇杯、ナビスコ杯で計11回の優勝経験を持つベテランは「昨季の14位と自分の試合には満足していない。個人もチームもまだまだ伸びる」。そして「サッカーの醍醐味(だいごみ)はタイトル。それを仙台にも、もたらしたい」と闘志を燃やす。

 昨季でチームを離れた13選手の思いも胸に戦う。「昨年悔しい思いをして出て行った選手たちの分も、我々が背負っていかないといけない」。新生ベガルタの中心として、今季も野沢がユアスタを沸かせる。【成田光季】