日本代表GK川島への批判が大きい。コロンビア戦での直接FKからの失点に加え、セネガル戦ではFWマネの先制点をパンチングで「アシスト」。試合は2-2で引き分けたが、0-1のままなら敗戦の責任をすべて負っていた。

 元日本代表GKで現在は横浜GKコーチの松永成立氏は「本人も認めているように、あれはミスですね」と言って、失点シーンを振り返った。「ポジショニングは問題ないし、守り方は間違っていない」と言った後「キャッチングすれば問題なかった」と続けた。

 なぜ、パンチングを選択したのか。松永氏は「ネガティブになっていたこと。失点したくない、という気持ちが強すぎたのでは」と分析した。初戦のコロンビア戦ではFKを直接決められ、批判されていた。「失点できない」「安全にいかないと」という思いが、瞬間的に判断を狂わせた。

 キャッチングは、ボールを落とすリスクがある。ボールがスリッピーなら、さらに危ない。「悪い時は、どんどんネガティブに考えがち。だから、より安全だと思って、パンチングに切り替えたのだと思います」と話した。もっとも「うまくいかない時は、狙い通りにいかないもの」と同氏。その通りに失点した。

 「川島交代」の声も噴出する。しかし、松永氏は否定した。「練習のパフォーマンスは東口や中村の方がいいかもしれない。でも、試合から離れている上に、大会のグレードが違う。経験値のない選手がいきなり出たら、プレーどころではない」。リスクの大きさを理由に、ポーランド戦でも正GKの起用を推した。

 不安なのは、川島のメンタル。ミスを引きずらないことだ。松永氏は「自らミスだと口にできたのは、開き直れた証拠。失点の後は悪いパフォーマンスではなかったし、安定している部分もあった」と話した。

 松永氏自身は「ドーハの悲劇」でゴールを奪われ、W杯出場を逃している。だから「3大会連続出場は日本人で初めて。うらやましい。日本のゴールを守り続けている自信を取り戻してほしい」とエールを送る。さらに「批判にさらされるのもW杯の日本代表だからこそ」。厳しい批判も期待が大きいからこそだ。

 98年フランス大会、無得点に終わったFW城彰二は帰国した成田空港で水をかけられた。落ち込む城は、FWカズからの「そんなの気にしてたらエースなんか務まんねえぞ。それは、期待の裏返しだ」という電話で立ち直ったという。

 川島が期待をバネに復活できるか。「コロンビア戦勝利での盛り上がりを、ポーランド戦で尻すぼみにしてほしくない」と松永氏。「オレしか代表のゴールは守れない、ぐらいの気持ちでやってほしい。いや、やってもらわないと困る。川島しかいないのだから」と代表の活躍を願った。