W杯強豪9カ国の記者に聞いた対戦したくない国は?

サッカーW杯ブラジル大会 決勝 ドイツ対アルゼンチン 主将フィリップ・ラーム(前列右から2人目)がW杯トロフィーを掲げるとドイツイレブンは歓喜のバンザイ(14年7月13日撮影)

<ズドラーストヴィチェ!~こんにちは~(10)>

 やっぱり世界の“嫌われ者”はドイツだった-。ワールドカップ・ロシア大会に向けて強豪9カ国の記者にアンケートを実施したところ、6カ国の記者が「最も対戦したくないチーム」にドイツを挙げた。前回王者であり、W杯欧州予選は10戦全勝と安定した戦いぶりを継続。突出した選手は不在ながら、さまざまな理由で難敵として警戒されている。一方、MVP予想ではネイマールとメッシが支持を分け合っている。

 西ドイツ時代から何かと“敵役”だった。74年大会ではクライフ、90年にはマラドーナというスーパースターを決勝で破って、嫌われた。フィジカルの強さと「ゲルマン魂」で相手をねじ伏せていた時代は「勝利至上主義。つまらないサッカーで勝つ」と皮肉られた。前回大会はメッシの夢を打ち砕いた。

 現在のドイツはパスワークも速さも、それなりの面白さもある。それでも疎まれる。「スターがいないから、戦いにくい。誰を制御していいかわからない」とベルギー誌記者。絶対的エースがいないからこそ、抑えるツボがわからず、不気味なのだ。

 選手層の厚さに言及するのは英紙記者だ。「今季プレミアリーグを制したマンチェスターCの主力MFサネが、ドイツ代表では『持ち駒の1つ』にすぎないほど」。嫉妬というより、ほぼボヤき? サネはW杯欧州予選出場3試合、23人の本番メンバーから漏れてしまった。昨年コンフェデ杯は若手中心の“2軍”で優勝。「ゴレツカ、キミヒら若い選手が入って新陳代謝」と、10年大会優勝も世代交代が進まずに14年は1次リーグ敗退に終わったスペインの記者はうらやましげだ。

 南米勢ではブラジルから「ドイツは合同練習が進んでいる。その点でブラジルは遅れているから、いつも苦労させられる」と組織力、アルゼンチンからは「親善試合は勝っても、W杯で勝てない(通算1勝1分け5敗)」との相性の悪さを嘆く声が届いた。

 では、そのドイツが対戦したくないのは? 若きタレントの宝庫フランスだ。「最も強いと思っているから」(ミュラー記者)と、理由もド直球である。フランスはブラジルにも嫌われている。86年準々決勝、98年決勝、06年準々決勝でいずれもブラジルはフランスに敗れており「フランスはブラジルにとって靴の中の小石」と表現し、邪魔な存在だとするブラジル人記者もいる。そんな事情を知るフランス紙記者は「避けるべきはブラジル」と“しっぺ返し”を恐れている。

【9カ国の記者への質問項目】<1>MVP予想<2>自国チームの成績予想<3>優勝予想<4>最も対戦したくないチーム

 ▼アルゼンチン ラ・ナシオン紙アンドレス・エリセチェ記者 

<1>メッシ

<2>「最低16強、目標は決勝進出」

<3>「希望はアルゼンチンだが、ドイツとスペインを忘れてはいけない」

<4>ドイツ

 ▼イングランド ガーディアン紙ドミニク・ファイフィールド記者

<1>デブルイネ

<2>8強

<3>ドイツ

<4>ドイツ

 ▼ウルグアイ デル・ソルFMマルコス・シルバ氏 

<1>メッシ、ロナルド、ネイマール、スアレス

<2>「スペインかポルトガルと当たる決勝トーナメント1回戦に勝てれば勢いに乗る」

<3>ドイツ、アルゼンチン、ブラジル、スペイン

<4>ブラジルとアルゼンチン

 ▼スペイン マルカ紙のミゲル・アンヘル・ララ記者 

<1>イスコ

<2>「8強が合否ライン。準決勝に進めば成功」

<3>ブラジル

<4>ドイツ

 ▼フランス ル・プログレ紙のジャン・フランソワ・ゴメス記者 

<1>ネイマール、メッシ

<2>4強か8強

<3>ブラジル

<4>ブラジル

 ▼ポーランド ブンデスリーガ公式サイトで働くヨアンナ・コザックさん

<1>レバンドフスキ

<2>4強進出も不可能ではない

<3>「ポーランド(笑い)。ドイツ、ブラジル、スペイン」

<4>ドイツとブラジル

 ▼ブラジル ESPNのセルソ・ウンゼルデ氏 

<1>ネイマール、メッシ、ロナルド、エムバペ

<2>最低で準決勝

<3>ブラジルとドイツの決勝戦

<4>ドイツ

 ▼ベルギー フットボールマガジン誌ペーター・ツキント記者 

<1>ネイマール

<2>8強

<3>フランス

<4>ドイツ

 ▼ドイツ フリー記者ティム・ミュラー氏 

<1>ネイマール、デンベレ、ウェルナー

<2>「ドイツの2連覇」

<3>同じ

<4>フランス

 ◆ドイツ代表のチーム事情 14年W杯後にラーム、クローゼ、ポドルスキらが代表引退も、それを埋める新戦力が台頭。控えにゴレツカ、ルディ、リュディガーらコンフェデ杯優勝組が並ぶ。故障で昨年9月から実戦を遠ざかった守護神GKノイアーが間に合うかがW杯メンバー23人選考の焦点だったが、滑り込んだ。