本田4年ぶり覚醒“トップ下DNA”君以外愛せない

実戦形式の練習でドリブルする本田(中央左)。左から乾、1人おいて香川、長谷部(撮影・江口和貴)

 【ゼーフェルト(オーストリア)4日(日本時間5日)】サッカーワールドカップ・ロシア大会に出場する日本代表MF本田圭佑(31=パチューカ)が「自分の家」とまで語るトップ下に戻った。紅白戦で主力とみられる組のトップ下に配置された。8日の国際親善試合スイス戦(ルガノ)で、日本代表ではW杯ブラジル大会以来となる4年ぶりの4-2-3-1のトップ下で先発する可能性が出てきた。

 本田がトップ下におさまった。アルプスの山に囲まれた静かな街、インスブルック近郊ゼーフェルトの合宿3日目。紅白戦で主力組の2列目中央に入った。山の天気は変わりやすい。西野ジャパンのシステムも並びも目下、目まぐるしく変わる。3バックではなく4バックへ。トップ下も置いた。同システムのスイス戦を見すえたとみられる。

 開始のホイッスルとほぼ同時に雷鳴がとどろいた。お帰りなさいの声ではなかったが、つまりは、家に帰ってきたわけだ。日本代表でこの位置でプレーすれば、実に4年ぶり。ザックジャパンの定位置に返り咲く可能性が出てきた。

 本田とトップ下。切っても切れない関係にある。名門ACミラン移籍から間もない14年3月5日の日本-ニュージーランド戦後「僕はトップ下のDNAを持っている。トップ下は自分の家みたいなもの」と言った。結局、ミランではほぼ右FWでのプレーを強いられ、後のアギーレ、ハリルホジッチ両監督にもほぼ、その位置で起用されたが、西野監督は違う。

 「センターMFでやった方が、彼のいいところが出る」。こう話し5月30日のガーナ戦では、ダブルトップ下のようなシャドーの位置で起用した。さらに、可能性を追究し試行錯誤している。その中心にコンディションのいい本田がいるようだ。

 本田は住居である家へのこだわりはあまりない。NHKのドキュメンタリー番組で「ホーム」を「アース」と言い、出身地を地球と定めた男。CSKAモスクワでもミランでも、パチューカでも厚遇で迎えられ、クラブが用意した住居で暮らした。ミランではあのカカと同じ超高級物件だったが、物欲がないからか、家をほしがるような話は聞いたことがない。

 ただ、トップ下という家なら別。住み心地が違う。ミランでの最終年は、最新鋭施設ミランラボで視野を鍛えるトレーニングを徹底して行った。360度のプレーエリアで素早い判断が求められるトップ下は、うってつけのポジションだ。

 4日には、この合宿地の家でもある高級ホテルへの坂道で、原口、宇佐美らと並んで歩きながらKinKi Kidsのバラード「もう君以外愛せない」を合唱する動画が、槙野と長友のSNSにアップされた。2列目の主役候補のそろい踏み。指揮者のように中央に構える本田がピッチでもハーモニーを生み出すか。【八反誠】

 ◆本田の日本代表でのトップ下 ザッケローニ監督時代の14年6月24日、W杯1次リーグ最終戦のコロンビア戦が最後。本田は国際Aマッチ94試合のうち78試合で先発しているが、位置別ではトップ下が最多で39試合。同位置ではザッケローニ監督の初戦となった10年10月のアルゼンチン戦で1-0と歴史的勝利を飾り、11年のアジア杯で優勝に貢献した。13年11月の欧州遠征では、FIFAランク8位のオランダと引き分け、同5位のベルギーに勝利。本田は2戦ともにトップ下で先発し、各1ゴールを挙げた。