決定率10%に長友「下手」己知り活路 南アに倣え

大声を張り上げて練習を盛り上げる長友(右)と植田(撮影・山崎安昭) 

 【ゼーフェルト(オーストリア)5日(日本時間6日)】西野ジャパンが身の程を知って巻き返しを図る。西野朗監督(63)率いるサッカー日本代表は、8日の国際親善試合スイス戦(スイス)を前にクロスからの攻撃や、セットプレー、シュート練習に取り組んだ。決定力は低く、日本代表の現状についてDF長友佑都(31=ガラタサライ)は「自分たちは下手だと認めないと」と発言した。いま一度足元を見つめ直し、本番で逆襲する。

 ゴールポスト、バー、GK正面、大きな枠外…。1日を締めくくるシュート練習で、ことごとくゴールネットを揺らせなかった。到着日の“0日目”にランニングしたことを除けば、合宿3日目で初めてゲーム形式の戦術練習はなし。クロスからの攻撃に15分間、セットプレーに25分間を費やした。だが、西野監督の「入れて当たり前」という言葉もむなしく決定率は低かった。

 最後のシュート練習。原口、武藤、香川、宇佐美、大迫、柴崎と乾、岡崎、井手口、浅野に分かれて、原口以外はDFをつけずに連続で蹴りこんだ。だが、主力の大迫や宇佐美らが決定率10%台という悲しい結果。ゴールマウスを守っていたGK東口が下田GKコーチと交代する際「もう(シュートが枠内に)飛んでけえへんから」と声を掛けたことがむなしかった。

 それでも、ワールドカップ本番まで、嘆いてばかりはいられない。3大会連続出場のDF長友は自身の経験から、西野ジャパンの現状を冷静に分析した。

 「ブラジルの時は理想ばっかり追い求めてしまって、結局W杯の舞台で結果が出なかった。理想ばかりでは勝てないと思う。自分たちが下手だということ、自分たちが強くないことをしっかり認めて、認めた上で自分たちができるサッカーを100%出し切る、ただそれだけかな、と思う」

 8年前、同じような言葉が飛んだ。W杯南アフリカ大会前のスイス・ザースフェー合宿で選手間のミーティングをした際、DF闘莉王が「日本ははっきり言って弱い。下手くそなんで、下手くそなりの戦い方がある」と話し、一致団結したことがあった。16強の躍進は、弱いことを認めるところから始まった。長友の言葉には8年前と通ずるものがある。

 8日の親善試合の相手スイスはFIFAランク6位の強豪。1次リーグ突破を目指す西野ジャパンの試金石だ。今の代表は自分たちを過大評価はしない。身の程を知っているからこそ、背伸びせず実力に見合った戦い方もできる。スイス戦で突破口を探し、W杯本番での逆襲につなげていく。【小杉舞】