乾2発 西野日本にやっと光 コロンビア戦先発も

日本対パラグアイ 後半、1点目のゴールを決めた乾(左)は山口と喜ぶ(撮影・江口和貴)

<国際親善試合:日本4-2パラグアイ>◇12日◇オーストリア・インスブルック

 【インスブルック(オーストリア)12日】日本代表MF乾貴士(30=ベティス)が、西野朗監督(63)の就任3戦目で初勝利を呼ぶ2点を挙げた。日本(FIFAランク61位)はパラグアイ(同32位)に4-2で逆転勝ち。後半6分、MF香川のパスを受けた乾が右足で決めて同点。これが西野ジャパンにとって初得点。同18分にも再び乾が決めて勝ち越した。香川も終了間際にゴール。ワールドカップ大会前最後の試合でようやく勢いをつかんだ。日本は今日13日にロシア入りする。

 アルプス山脈に囲まれた試合会場が歓喜に包まれた。19日のW杯1次リーグ、コロンビア戦を1週間後に控えた最後の調整試合。1点を追う後半6分、香川からパスを受けた乾がドリブルで持ち込んで右足で同点ゴール。これが西野ジャパン初得点となった。

 「意識してやった形。狙い通りだった」

 続く後半18分、またもや香川と息のあったプレーを見せた。武藤の右クロスを中央の香川が右アウトサイドで軽く触れ、乾が再び右足で直接蹴りこんだ。「マイナス(の方向)にくれれば打てると思っていた」。14年11月14日ホンジュラス戦以来2度目の2発。代表通算3、4点目が、西野体制3戦目での初勝利へと後押しした。

 元セレッソ大阪コンビの絆が勝利を呼び込んだ。2得点とも08~10年まで約2年同僚だった香川からのパス。レビークルピ監督(現G大阪監督)の下で、切磋琢磨(せっさたくま)してきた相棒だ。乾自身「一番影響を受けたのは真司」と話すほどだ。

 5月17日、当時の所属先エイバルでの練習中、右太ももを打撲し緊急帰国した。W杯メンバー選考前、最後のアピールの場となる同30日ガーナ戦の出場は不可能だった。代表23人枠からの落選の可能性も十分あった。だが生き残った。「今日のゴールでほっとした。試合に入れたのが良かった。本大会にいい形で入れるのは確か」。この試合の2発でコロンビア戦に先発出場する可能性も出てきた。必死にリハビリと練習を続け、立場は天と地の差ほど激変した。

 昨春にバルセロナとの公式戦で日本人初ゴールとなる2発をカンプノウで記録するなど、乾が波に乗れば大舞台で1試合2発を決めている。「本大会でラッキーボーイになれるかは分からない。でも、コロンビア戦に照準を合わせたい」。滋賀・野洲高時代に培ったドリブルや得点能力は世界に通じるはず。30歳のエース候補が夢の舞台に立つ準備は整った。【小杉舞】