半端ない!大迫V弾「結果を出すことが全てだと」

日本対コロンビア 後半、大迫(中央右)は本田のCKを頭で合わせて勝ち越しのゴールを決める(撮影・江口和貴)

<ワールドカップ(W杯)ロシア大会:日本2-1コロンビア>◇1次リーグH組◇19日◇サランスク

 日本代表FW大迫勇也(28=ブレーメン)が決勝ゴールを奪った。後半28分、MF本田からの左CKに頭で合わせ、右ポストに当ててネットを揺らした。記念すべき自身のワールドカップ初ゴールは、値千金の1発となった。高校時代についた“ハンパない”の枕ことばにたがわない勝負強さを示した。

 ボールを額でとらえる瞬間も大迫は目を見開いていた。本田からきたボールは、練習通り自分の目の前に落ちてきた。後ろからDFに引っ張られながら、そらすように後方へ。右ポストに当たり、ゴールへ吸い込まれた。「子どもの時からの夢だった。素直にうれしい」。最高の笑顔でベンチの仲間の輪に飛び込んだ。

 もともとヘッドは苦手だった。鹿児島城西高3年の全国選手権で10得点10アシスト。「大迫半端ないって」と対戦相手を驚愕(きょうがく)させた時も、全て足元の技術だけで奪った。「頭で決めた記憶がない」という高校時代を終え、当時Jリーグ最強の鹿島に入団。1年目から元日本代表DF岩政らを相手に居残り練習を重ね、岩政に言い返すほどの負けん気を出して頭からボールに飛び込み続けた。下手くそだった頭で、日本代表を勝利へ導いた。

 原動力は前回大会のコロンビア戦。大迫は3戦目で初めて先発を外され、そのままベンチで1-4惨敗の笛を聞いた。「ああいう負け方をして、個人的にも何もできなかった。やっぱりW杯は全てがうまくいかない。悪い時もある。その中で、自分たちがどれだけ歯を食いしばって頑張るか」。自分への情けなさと屈辱をかみしめ、ドイツへ渡ることを決めた。

 ドイツで屈強なDFと対峙(たいじ)した。個人トレーナーと契約して週2回、体幹、腹筋と背筋のバランスから呼吸法まで見直した。猫背も矯正。背筋が伸び、視野も広がった。この日の得点もCKの密集の中でDFと競り合い、頭1つ抜けての完璧なゴール。「DFに負けずにやれた。4年間ドイツでやってきて本当によかった」。足をつって動けなくなるまでプレスに走り続けた姿が、大迫の答えだ。

 ロシア入り後は多くを語らなかった。「いくらたたかれたって試合はくる。そこで結果を出すことが全てだと割り切っていた」。前半は香川のパスに抜け出してシュートまで持ち込み、PK獲得につなげた。後半はMFロドリゲスのシュートに体を投げ出してブロック。秘めた思いがプレーにあふれた。1次リーグ突破へ前進する勝ち点3。「これで満足したくないので」と話す大迫の目が、力強かった。【岡崎悠利】