西野監督余裕のユーモア会見「乾、大島の調整失敗」

セネガル戦前日会見開始前、吉田(右)からイヤホンを耳に掛けてもらう西野監督(撮影・江口和貴)

 日本代表の西野朗監督(63)が今日24日(日本時間25日)のセネガル戦でワールドカップ(W杯)1次リーグ突破を決めにいく。

 19日の1次リーグ初戦で強豪コロンビアを下し白星発進。「サランスクの奇跡」から中4日。公式会見では「第3戦は敗者復活のゲームであって。2戦目で決めなければいけないと選手たちに伝えています」と言い切った。勝てば1次リーグ突破が決まる可能性も。ユーモアも交えた強気の会見は、アキラ節100%。相手のマネの鋭い動き以上のキレ味を、会見で示し勢いづけた。

 勝負師の西野監督の公式会見は、まさに独り舞台だった。セネガルの個の力、組織力を警戒しつつも、掲げ続ける攻撃的姿勢は崩さなかった。展開次第で無理をせず引き分けを狙い、第3戦ポーランド戦(28日・ボルゴグラード)にかける策もある。その可能性について問われると、真っ向から否定。力強く大号令だ。

 「第3戦は敗者復活のゲームであって。2戦目で決めなければいけないと選手たちに伝えています。そう思わなきゃいけない状況。最高のポイント(勝ち点3)を目指す。多少リスクがあっても目指させるべき今なんではないかと。勝負にかける2戦目でなければいけない」

 会見は、初戦の前後と同じように、イヤホンを冒頭のみ同席した隣の吉田にひっかけてもらった。験担ぎであえてそうしたのか、和やかにスタート。その後は冷静に、徹底的にセネガルの長所を語った。「明日おそらく、想像以上のものがあるのではないか」と警戒。弱気なのかと思いきや、対策について真顔で突然ジョークを放った。

 「ここ数日、セネガルに対して、我々のチームの(小柄な)乾、大島に5キロ増量せよ、5センチ身長を伸ばせという調整に失敗した。軽い体、軽い頭の中でも考えたい。肉体ではなく、頭の方を整理して戦術、戦略を考えていかないといけない」。セネガル守備陣の急所にズバッと突き刺す縦パスのような、予期せぬ話題。余裕がある。聞いていて心強くなるほどだった。

 先発も「あまりお話はしたくない」としながら「スタートメンバーはコロンビア戦と、現時点では考えています」と言い切った。もはや予告先発の域。96年アトランタ五輪のマイアミ、そしてロシア・サランスク…。「奇跡が独り歩きしている。(コロンビア戦も)実際勝つために準備してきましたし、奇跡とも、まったく思いません」。エカテリンブルクでも、セネガル相手に必然の勝利を奪いに行く。西野監督にオーラが出てきた。【八反誠】

 ◆日本の次戦決勝トーナメント進出条件 第1戦でコロンビアを下した日本は第2戦のセネガル戦に勝てば、コロンビアがポーランドに勝ち、または引き分けで最終節を待たずに1次リーグ突破が決まる。引き分けた場合でも、第3戦のポーランド戦に引き分け以上で他会場にかかわらず突破が確定。一方で第2戦のセネガル戦で敗れた場合、第3戦に勝利したとしても突破は、第2戦と第3戦の他会場の結果に左右される。