乾、高校時代と変わらないひたむきさ/こんな人

日本対セネガル 前半、笑顔を見せる乾

<ワールドカップ(W杯)ロシア大会:日本2-2セネガル>◇1次リーグH組◇24日◇エカテリンブルク

 日本が決勝トーナメント進出へ、価値あるドローに持ち込んだ。1点をリードされた前半34分、MF乾貴士(30=ベティス)が、ペナルティーエリア左でボールを受け、右足で見事な軌道を描くシュートで、ワールドカップ(W杯)初ゴールを挙げた。後半も本田の同点ゴールをアシストし、2度追いついた死闘の鍵を握る活躍。1次リーグ突破へ、乾がキーマンになることを印象づけた。

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 乾の滋賀・野洲高時代の監督、山本佳司さん(54=現同校総監督)は驚かされた。1年前、スペインから帰国した乾と会話し「だれが一番うまいんだ? と聞いたら『メッシは異次元』『バルセロナを見てたら、もっとうまくなりたいと思う』と。高校の時と変わらないひたむきさで、サッカー小僧のまんまだなと」。

 スペインでもまれての進化を感じたのが3つあるという。「積極的にシュートに行く姿勢、守りの技術と意識、フィジカル面」。高校の時はあまり得意ではなかった部分。恩師は目に見える進化を感じ取っていた。

 乾が2年の時、高校選手権で全国制覇した。歓喜のロッカー室で山本さんが選手にかけた言葉がある。「(日本)代表になって、ここ(国立競技場)に帰ってこい!」。30歳でかなえたワールドカップの舞台は、常に世界を意識してきた恩師の夢でもあった。【実藤健一】