国際サッカー連盟(FIFA)は27日、ウクライナに軍事侵攻したロシアに対し、国際試合の主催を禁止すると発表した。

ホーム戦は中立地で行い、国歌や国旗の使用は認めない。チーム名もロシアではなく、ロシアのサッカー協会の名前である「ロシア・サッカー連合(RFU)」で戦うという。

しかしこの決定が「緩い」と各国からの反発を招いている。AP通信によると、3月24日の22年ワールドカップ(W杯)カタール大会欧州予選プレーオフでロシアと戦う予定のポーランドは依然として試合を行うことを拒否している。

ポーランド協会のクレシャ会長はツイッターに「FIFAの決定はまったくもって受け入れられない。このような試合への参加に興味はない。我々の立ち位置は一貫しており、ポーランド代表はロシアとは試合をしない。相手チームがどんな名前でもだ」と記した。

先の冬季北京五輪では、フィギュアスケート女子のワリエワ(ROC=ロシア・オリンピック委員会)にドーピング違反が見つかりながら、同選手はそのまま競技に参加し続けた。今回のFIFAの決定は、ワリエワに“ゴーサイン”を出したスポーツ仲裁裁判所(CAS)の判断よりも、もっとふに落ちない。ロシアのウクライナへの侵攻は、どのような理屈をつけても正当化できないものだからだ。

「選手が戦争をしているわけではない」という考え方もある。だが他国に侵攻している国の選手を相手に普段どおりの気持ちでプレーするのは難しい。W杯予選欧州プレーオフでロシアと対戦する可能性のあるスウェーデンとチェコも、FIFAによるより厳しい決定を求めている。

よく「スポーツと政治は切り離されるべきだ」と言われるが、現実はその正反対だ。例えば五輪を招致するには政治力および莫大(ばくだい)な費用が必要で、「裏金」の話も毎回のように出てくる。東京五輪では竹田恒和・元招致委員会理事長が贈賄疑惑でフランス司法当局の捜査を受けていると、英BBCなど複数の海外メディアが報じた。

近年のロシアは政治的な面でもサッカー界に深く食い込んでいる。RFUのデュコフ会長はロシアの国有エネルギー企業「ガスプロム」の子会社CEO。ガスプロムは欧州サッカー連盟(UEFA)各種大会の大口スポンサーで、デュコフ会長はUEFAの役員でもある。ロシアと欧州サッカー界は現在なかなか切り離せない関係になっているのだ。FIFAとしてもロシアを資格停止にしたり、W杯予選から除外するのは決断しづらいのではないだろうか。

仮にポーランドやスウェーデン、チェコがW杯欧州予選プレーオフでRFUとのプレーを最後まで拒否した場合、罰金等の処分が科せられる可能性もあるという。それでも3カ国には自分たちの主張を貫いてもらいたいし、他の連盟からも3カ国を後押しする声が続いてほしい。テレビのニュースでウクライナの悲惨な状況を目にするたびに、ロシアの軍事侵攻は許されないものだと再確認するからだ。

【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)