1990年代にドイツ代表で活躍し、歯に衣(きぬ)着せぬ物言いで知られるマリオ・バスラー氏が、古巣クラブと法廷で争っている。

バスラー氏は昨年10月、ヘッセン・リーガ(5部)で16位に沈んでいたRWフランクフルトの暫定監督に就任。冬季中断期間までに残留圏へ浮上することを目指したが、それから2カ月後の12月上旬に指揮官の座を追われてしまった。

大衆紙ビルトによると、今回問題となっているのは、RWフランクフルトがバスラー氏に約束した報酬5000ユーロ(約65万円)が未払いであること。フランクフルト地方裁判所に姿を現した同氏は、「我々がそのことを決めた時には、(クラブ関係者を含め)計6人が交渉のテーブルについていた。彼らはあの時の約束を思い出せないようだ。笑いこけそうなくらい恥ずべき行為だよ。しかし彼らにはまだ、弁護士を雇い、そして法廷で戦うための資金が残っているらしい。伝統あるクラブが、あのような人間たちに率いられたせいで崩壊していく。その様子を見るのはツライね」と、まくしたてたという。

バスラー氏が去った後も低迷が続き、降格の憂き目を見たRWフランクフルトは、現在6部で17チーム中14位に位置している。同リーグでは下位5クラブが7部に落ちるため、このままでは2シーズン連続での悲劇となる。

なお、現在RWフランクフルトを指揮しているのは、現役時代にフランクフルトやデュイスブルク、サラゴサなどでプレーした元ユーゴスラビア代表スロボダン・コムリェノビッチ氏。バスラー氏にとっては、同時期にカイザースラウテルンでプレーした元チームメートだ。

バスラー氏はそのことにも触れ、「スロボ(コムリェノビッチ氏)には申し訳ないことをした。RWフランクフルトに行くことを決める前に、私にひと言相談してくれれば良かったのに。あんなクラブで監督をしていては、彼の名声に傷がついてしまう」と、最後まで古巣クラブへの恨みを語っていたという。