トットナムはアウェーでマンチェスター・シティーとの“イングランド対決”に3-4で終えたが、2試合合計4-4のアウェーゴール差で、前身大会も含めて1961-62年シーズン以来の準決勝進出を果たした。

準決勝ではアヤックス(オランダ)と対戦する。この試合で韓国代表FW孫興民(26)が2得点を記録し、ディナモ・キエフ(ウクライナ)で活躍した元ウズベキスタンFWシャツキフの同大会通算11得点を上回る同12得点として、アジア人最多得点者となった。

57年ぶりの準決勝進出で歓喜に沸くトットナムは、試合終了の笛がなる3分前にVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)によって地獄から天国に返り咲いた。後半ロスタイム、MFエリクセンのバックパスから相手FWスターリングにネットを揺らされた。試合終了間際での失点。喜びを爆発させる相手とは対照的に、ポチェッティーノ監督は天を仰ぎ、ゴールを許したGKロイスら数人はピッチに座り込んで立ち上がれなかった。失点の起点となったエリクセンは「すべてが終わったと思った」。敗退濃厚に追い込まれた。

だが1分後、主審が手で四角を描き、試合の行方はVARに委ねられた。バックパスが相手に当たった瞬間、ボールを受けた相手FWアグエロはオフサイドの位置に。大型ビジョンに「NO GOAL」と文字が浮かび上がると、トットナムのサポーターは笑みを浮かべながら頭を抱えた。エリクセンは「今夜、地球上で最も幸運な1人に違いない」と胸をなで下ろした。

準決勝進出をたぐり寄せた3点目もVARが使用された。FWリョレンテの腕にボールが当たったように見え、敵将のグアルディオラ監督が「角度によればハンドに見える」と話す程微妙だったが、結果はゴール。VARに2度助けられた指揮官は「信じられない。VARが助けてくれた」と率直な心境を口にした。

エースFWケーンが不在の中、2得点を挙げて4強入りに導いた孫興民も「信じられないよね」と激動の試合を振り返った。たが「まだ終わっていない」。ジェットコースターのような終了間際を経て、初のタイトル獲得に前進した。