日本代表FW久保建英(18)が、あのレアル・マドリードでデビューを果たした。FC東京から移籍後、初実戦となるプレシーズン大会の初戦バイエルン・ミュンヘン戦。銀河系軍団に新加入のFWアザール、MFモドリッチ、DFセルヒオラモスらフルメンバーが並んだ前半は当然ベンチスタートだったが、後半いきなり出番が訪れた。

1点を追うハーフタイム後に、レアルはメンバー11人を全員変更。前日会見でジダン監督が「質が高い。将来、大事な選手になるだろう」と期待を寄せられていた背番号26の久保も、MFクロースとの交代で投入された。約7万人を収容するアメリカンフットボールNFLテキサンズの本拠に大観衆が詰めかけた中、日本人で初めて「白い巨人」の1人になった。

後半開始11秒でパスを引き出し、初タッチ。DF2人に挟まれたが巧みな足技ではがすと、20秒に初クロスを左足で上げた。GK正面でチャンスとはならなかったが、さっそく度胸あるプレーを披露した。その後も速い球離れでリズムを生み、17分にはドリブルで持ち上がってFWビニシウスにスルーパス。最後はDFに阻まれてアシストとはならなかったが、決定機を演出した。20分には、蹴ることはなかったものの直接FKのキッカー位置に立って期待感を膨らませた。

しかし、試合はバイエルンが主導権を握る。22分、中央のFWレバンドフスキが反転と同時に右足でシュートして2点目。24分にはMFニャブリが左クロスをワントラップから右足を振って3点目を奪った。反対にレアルは39分、久保と同じ新顔18歳のFWロドリゴが自ら得た直接FKを右足でゴール右上に突き刺し、1点を返した。

劣勢が続く中、基本的には4-3-3-システムの左インサイドハーフに入った久保は、10番モドリッチと同じ位置から、時には4-2-3-1ぎみのトップ下に上がってチャンスをうかがった。しかし、45分にロドリゴへ出したスルーパスも長くなって合わず、両手を上げて悔しそうに天を仰いだ。シュートを放てず得点にも絡めなかったが、極東の国から加わったばかりの18歳が気後れすることなくプレーした。

久保がベンチから見て学んでいた前半は、15分にドイツ王者が先制した。左サイドバックのアラバがペナルティーエリアの左に進入して折り返し、FWアルプが中央でスルー。ファーサイドにノーマークで走り込んだMFトリッソが右足でシュートした。丁寧に蹴ったボールは1度、GKクルトワとDFマルセロのブロックにはね返されたが、こぼれ球を再びトリッソが右足で蹴り込んだ。

その後はレアルが一方的に攻め立てる。ベンゼマやモドリッチをはじめ、新戦力で唯一の先発となったベルギー代表FWアザールが前半途中から躍動。34分には得意のドリブルでファウルを誘い、39分には右足ミドルシュート。42分にはDFマルセロへ出したパスから、ベンゼマへの惜しいクロスが生まれた。しかし、両軍合わせて前半だけで25本のシュートがあった中、追加の点はなく、前半はバイエルンの1点リードで折り返した。

その後、久保のレアルデビューが実現した。今季はカスティージャ(2部Bリーグ=3部相当に所属のBチーム)に在籍することが基本線とはいえ、さっそくボールも集まっており、信頼度は低くない。同じ立場のロドリゴのように、いきなりデビュー弾は決められなかったが、カナダから始まった合宿でアピールに成功していることを物語っている。トップ昇格を目指す今後にすべてがつながる45分間。日本のサッカー界にとっても歴史的な1歩となった。