<担当記者が見た久保のデビュー戦>

残る2試合で、久保を本職である1列前の位置で試す価値が十分にある、そう思わせるだけのデビュー戦だった。後半開始からドイツ代表MFトニ・クロースに代わり、4-3-3の中盤左でプレー。ジダン監督が採用するこのシステムにトップ下はなく、左右のウイングは力強さとスピードが重要になる。指揮官は久保の視野の広さや豊富なパスのアイデアを買ったとみられる。

実際、スルーパス1本でビニシウスの決定機を作るなど、期待通りのプレーをしたと言える。ドリブルも効果的で、仕掛けて得た反則数3はチーム最多で、後方からのタックルやスライディングによるもの。Bミュンヘンをもってしても、173センチと小柄な久保に手を焼き、強引に止めていたことが分かる。

よりゴールに近い位置でプレーできれば、仕掛けの回数も、好位置でのFK獲得の機会も増やせるはずだ。やはり久保は、中盤より、もう1つ前で最も生きる。戦力豊富なRマドリードでは前線の序列を覆すのは簡単ではないが、プレシーズンマッチの今大会でテストのチャンスを与えてもらいたい。【岡崎悠利】