日本代表MF香川真司(30)が、夢のスペインデビューを果たした。

2部サラゴサへの完全移籍から9日目、ホームで行われた開幕テネリフェ戦に先発。ぶっつけ本番で得点こそなかったものの、本職のトップ下で80分間プレーして2-0発進に貢献した。欧州では初となる2部リーグで、年間42試合の長丁場がスタート。次節は25日、敵地でボンフェラディーナと戦う。

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幼少時から、何度も映像で見てきた国の芝をついに踏みしめた。欧州10シーズン目、30歳の決意を丸刈りに込めた香川が駆けた。今月9日に加入したばかりで練習試合にも出ていなかったが、4-2-3-1陣形のトップ下で先発。前半3分、あいさつ代わりに右足でFWドゥワメナへスルーパスを通せば、1-0の後半27分には右足ループシュートを狙った。起用、そしてボールを触るたびに上がる歓声が期待を物語った。

久々の公式戦に「きつかったけど、何より勝利を意識したので最低限のことはできたかな。ぶっつけ本番に近かったので」。味方が2点を奪った。一方で自身に得点はなく、連係にも当然向上の余地はあったが、相手のプレスが激しい時間帯も恐れずボールを受けに走った。「常に僕を経由して始まるくらいになれば、確実に自分のチームになる」。ドルトムント、マンチェスターUで優勝してきた男が、今季は「1部昇格」を請け負う上での覚悟だ。

2部とはいえ、念願の舞台で後半35分まで80分間プレー。MFブランコと交代で下がった時には、本拠ラ・ロマレダから歓迎の拍手が降り注いだ。他国の複数1部クラブから打診があった中、迷いなく「タフだから」と選んだ国の第1歩は上々。「最高の挑戦」という年間42試合が始まった。

次節は25日のボンフェラディーナ戦。地元紙では質の高さやリズムの良さを評価されたが、次は得点を求められる。もちろん「取る準備はしている」とプロセスを踏み、この瞬間から真の夢である「スペインでの成功」へ突き進んでいく。