【バルセロナ7日=高橋智行通信員】スペインリーグ マジョルカMF久保建英(18)がアウェーでの“古巣”バルセロナ戦にフル出場した。バルサの下部組織で育ち、宿敵Rマドリードに加入。期限付き移籍しているマジョルカの一員として7万人が待つカンプノウへ。この経緯もあり、大いにブーイングを浴びた。試合はFWメッシにハットトリックを許すなど2-5で完敗。今季アウェーは7戦全敗でまだ勝ちがない。

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待ち受けていたのは、大ブーイングだった。ラ・マシア(バルサの下部組織)時代に夢見ていたカンプノウ。敵としてピッチに立った久保が、前半6分にボールを持った直後だった。今夏、永遠のライバルであるRマドリード入りした経緯もあり、容赦ないブーイングを浴びた。これには「彼らには僕にブーイングをする権利がある。僕は受けるに値すると思っている」と口にした。得点を挙げられず大敗したが、愛憎入り交じったブーイングが、久保の存在感を際立たせた。

一方で「拍手を送ってくれた人たちもいたし、そのことは僕に力を与えてくれた」と、わずかな声援を力に変えた。力の差は明らかで、メッシは目の前で軽々とハットトリック。久保は多くの時間を守備に追われた。これが現実。「できる限りの力を出したが、十分ではなかった」と素直に悔しさを口にした。

一番の収穫は“古巣”の容赦ないプレーを肌で感じられたこと。「18歳の少年としてではなく、ライバルとして見てくれた。そのことが、うれしい」。憧れのピッチは世界屈指の名門、かつての在籍クラブから、敵の一員として認められた舞台となった。