フランクフルト(ドイツ)MF長谷部誠(35)が、相手選手のスパイクが当たり顔面裂傷を負う中、終盤には2失点を喫し、逆転負けした。まさに泣きっ面に蜂となっただけに、いつもは沈着冷静なキャプテンも「結構怒りが今日の試合あるかな」と感情を隠さなかった。

3バックのセンターでフル出場した長谷部は後半19分、顔に裂傷を負い、ピッチ外で治療を受けた。直前のタックルの際に相手のスパイクが当たった模様で、治療を受けてピッチに戻った。後半30分にはダコスタへのスルーパスを出して好機を演出するが、ゴールには結びつかなかった。

逆に後半40分、42分とチーム全体の守備バランスが崩れてしまい、まさかの連続失点。2-1のリードで迎えた終盤に、まさかの結末が待っていた。

開口一番で「悔しさとかそういうのよりも、結構怒りが今日の試合あるかな」と長谷部。2位通過で決勝進出が決まったが、その表情は険しいものだった。

「自分たちが、勝てば1位通過できたわけだし、もちろん次に進めるというのはあるのですけど、試合運び、特に今日の後半の戦い方というのは、これじゃなかなか勝てないなというゲームだったし、全体的に、前半は先制されて(スコアを)ひっくり返したのは相手のキーパーのミスとかそういうのもあったのですけど、ただ、この戦い方では決勝トーナメントいってもなかなか、勝つのは難しいかなと思いますけどね」

その逆転負けの要因について、長谷部の見立てはこうだ。

「みんなが受け身になったなというのは正直感じてて、相手も悪くはなかったんです。ただ、それにしても全体的に、フォワードの選手なんかもなかなか動かないし、守備もやんないし、まあ後ろから言ってやっと動くような感じ。そういうのよりも自分たちの今日は、ここで勝って、とにかく勢いもって次に進むという、そういう中で強いメンタリティーを出さなければいけなかった。それが後半なんかは全く見せられなかったし、2-1でいいやという、そういう戦い方をしてたし。あの戦い方したらやられるなと感じてたのでそれは言ってたんですけど、チーム全体としてプレーで表せなかったなと思います」

そう話した上で、繰り返すように「勝てない要因は絶対あるし。それは本当に小さなとこの積み重ねなので、それが今かけているし。守備の部分で戻らなかったりだとか。あと1歩行くとこいけなかったりだとか。そういうところがチームとして欠けているなと。そこの厳しさはもっともっと求めていかないと厳しいかな」と“小さな積み重ね”の重要性を説いた。

国内リーグ戦に欧州リーグと、連戦に連戦が続く。次戦は15日のブンデスリーガ第15節シャルケ戦で、その後は18日にケルン戦、22日にパーダーボルン戦とこの先の1週間で3試合が詰まっている。長谷部は体調が万全でなく、先月から、かぜの状態が続いている。

「もう3週間くらいたってますね。マインツ戦の時あたりが一番きつかったんですけど、その時は出れなかったんですけど。それ以外はせきとかがなかなか、今年は治んなくて。はやってて。早く治したいんですけど」

チームは現在ブンデスリーガで11位と苦しむ。1月で36歳となるベテランは体にムチを打ち、ウインターブレーク前の3試合に全力を尽くす。(中野吉之伴通信員)