新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず危機的な状況にあるイタリアから、サッカー日本代表主将でサンプドリアに所属するDF吉田麻也(31)が日本に向けて警鐘を鳴らした。イタリアは死者数が28日に1万28人と一国で初めて1万人を超える中、自身のインスタグラムで「冗談抜きで家にいた方が良い」「感染拡大を食い止めるには僕たち一人一人の意思」などと日本のファンに向け、外出を控えるよう呼びかけた。

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新型コロナウイルスの脅威を“最前線”のイタリアで目の当たりにしている吉田は、黙っていられなかった。いまだに「対岸の火事」のような意識を持つ日本に向け、強いメッセージを発した。28日に自身のインスタグラムで「日本の皆さん、冗談抜きで家にいた方が良いです。感染拡大を食い止めるには一人一人の行いにかかっています」とつづった上で、母国に向けて真剣な表情で話す動画をアップした。

「イタリアにいて、イギリスも見ていて、初期の段階で少しみんなが油断していたのではと思いました。中国で起こっていること、これはアジアの問題ととらえて日常生活を送っていたことで、一気に感染が拡大してしまった」

日本では約1800人(※クルーズ船を除く)の感染者数にとどまっているが、イタリアでは9万人以上が感染し、死者数も1万人を突破した。自身の所属するサンプドリアでも少なくとも8人の感染者が出ており、感染拡大の脅威は身近で起こっている。イタリアを含む欧州諸国では外出禁止や罰金など厳しい規制が敷かれる一方で、日本では首都圏を中心に不要不急の外出は控えるよう呼びかけられているものの「お花見シーズン」も手伝って、どこか人ごとのように外出する人の姿が目立っている。

「日本のみなさんも、もしかしたら、心のどこかで『ヨーロッパで広がっているね』と、それくらいに思っている方もいるかもしれませんが、本当に感染は一気に広がります」

日本もいつイタリアと同じような医療崩壊に陥ってもおかしくない。だからこそ遠く離れた場所での問題と思わず、危機的状況が日本にも起こり得ることだと意識することが大事だと訴える。世界中では約65万人の感染者を出し、3万人以上が亡くなっているが、終息する気配は一向に見えてこない。

「是非、協力してみんなでこの危機を乗り越えましょう。ステイホーム!」

地球規模で闘うべきウイルス。さまざまな困難に立ち向かってきた日本のディフェンスリーダーは、最大の敵を前にあらためて一致団結を呼びかけた。

○…吉田だけでなく、海外でプレーする日本人選手も注意喚起を行っている。ブラジル1部ボタフォゴMF本田は「日本だけが世界で割と普通に生活している唯一の国という不安な状態」と自身のツイッターに記した。外出禁止となっているスペインの2部デポルティボMF柴崎も「他国で起こっていることを他人ごとだと思わずに、自分は安全だと思わず、皆さんの意識を変えてほしいと思います」。吉田と同じくイタリアでプレーするボローニャDF冨安は「一番の感染を防ぐ近道は、家にいて他の人との接触を避けること」とツイッターにつづった。