アイントラハト・フランクフルトの元日本代表MF長谷部誠(36)が、ドイツ1部リーグ通算308試合出場で、元韓国代表FWの車範根(チャ・ボンクン)が持っていたアジア選手の最多出場記録に並んだ。敵地で大迫勇也のブレーメンと対戦し、後半16分の先制点の起点になるなど3-0の勝利に貢献した。長谷部とともに先発したMF鎌田大地は後半32分までプレー。大迫は同31分に退いた。

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長谷部は大迫らブレーメンの攻撃陣に付け入る隙を与えなかった。36歳の元日本代表は過密日程の中でも3試合連続フル出場を果たし、ドイツ1部リーグ通算でアジア選手最多記録に並ぶ308試合出場に到達した。節目の一戦を完封で飾り、クラブを通じて「とても誇りに思う。これで降格圏(入れ替え戦に回る16位)と勝ち点8差をつけることができた」。チームは11位に浮上し、残留争いから1歩抜け出した。

3バックの中央、いわゆるリベロとして守備陣を統率した。球際の争いでも奮闘。後半16分の先制点は長谷部の積極的な守備が起点だった。パスを受けた大迫に鋭く寄せてボールを奪い取ると、鎌田を経由して最後は味方がネットを揺らした。陰ながら勝利の立役者となった。

08年2月の初出場からおよそ12年。ウォルフスブルク、ニュルンベルク、Eフランクフルトと3チームを渡り歩いた。ドイツ1部でプレーする現役選手では10位にランクイン(最多は今季限りで現役を引退するブレーメンFWピサロの487試合)。この日のファウル0というデータが示すように、相手の攻撃の芽を摘むクレバーな守備はさらに円熟味を増している。

また、クラブOBでもある車範根については「308試合よりも多くの試合に出ることはできると思うが、100点くらい(98得点)決めている彼を得点で追い抜くことはできない。彼は素晴らしい選手でとても尊敬している」と話した。

チームは5月のリーグ再開直後に1-3、2-5と大量失点での2連敗を喫し、2部降格危機に陥った。しかし、長谷部が守備の要として先発復帰すると、2勝1分けと上り調子。長谷部は「土曜日(次節6日)のマインツ戦で3ポイントを獲得できたなら、さらに上位を目指すことができる」。リーグ戦は残り5試合。下を向いていたチームが長谷部の活躍で上位を狙う態勢を整えた。

◆車範根(チャ・ボンクン)1953年5月22日、韓国・水原生まれ。72年に19歳で代表入り。78年のブンデスリーガ1部ダルムシュタットを皮切りに、アイントラハト・フランクフルト、レーバークーゼンのFWで通算308試合98得点。86年W杯メキシコ大会では「アジアの虎」の異名をとった。韓国代表監督も務め、98年W杯フランス大会に参加。