【ビリャレアル(スペイン)=高橋智行通信員】日本代表MF久保建英(19)が新天地を自分の色に染める。11日、スペイン1部ビリャレアルの入団会見に臨んだ。レアル・マドリードから来年6月までの期限付き移籍で加入。昨季所属し2部に降格したマジョルカとは違い、リーグ5位に入るなど、常に上位争いをする有力チーム。会見では新たな攻撃の核としての期待に応える活躍を誓った。欧州リーグ(EL)の出場権も獲得しており、レアル・マドリード復帰へのステップアップとして絶好の場となりそうだ。

   ◇   ◇   ◇

会見に出席した19歳の目つきは希望に満ちていた。クラブカラーの黄色いマスクを着用し、クラブのロッチ会長と握手して記念撮影するとすぐに手を消毒。新型コロナウイルスに万全の対策をしながら、流ちょうなスペイン語も使って質問に答えた。「上位を目指すチーム。大きなことは言いたくないけれど、できるだけ上の順位でフィニッシュして、欧州リーグでもいい結果を残したい」。新指揮官のエメリ監督やチームメートともすでに話し「フレンドリーな会話もあって、早くなじめそう」と笑顔も見せた。

ビリャレアルは昨季限りで大黒柱のMFカソルラが退団。ELも控える中で新たな攻撃陣のリーダーとして、1シーズン限定にもかかわらず加入を熱望された。「まだ練習着を1回着ただけですが、自分の色に染めていけたらいい」と、期待に応える活躍を誓った。

昨季は右サイドが主戦場となったが、中央でプレーする時間も増えそうだ。そうなれば、攻撃の中心に立つ「久保モード」の戦術を採用する可能性もある。昨季カソルラが記録した3ゴール9アシストを超える数字も求められてくる。久保は「能力や特徴をアピールして、試合に絡むことが一番」と、冷静に覚悟を口にした。

サイドアタッカーとして腕に磨きをかけるにもこの上ない環境になる。クラブにはリーガ屈指の右ウイングであるナイジェリア代表MFチュクウェゼが所属する。久保とは異なるスピードタイプで、いいライバルになる。スペイン大手紙「マルカ」は右に久保、左にチュクウェゼで共存させるメンバー構成を予想した。

すでにメディカルチェックもクリアし、開幕スタメンを目指してプレシーズンの活動に入る。「今回、ビッグクラブで能力が高い選手と競いながらやれる。攻撃面なども磨きをかけて、またひとまわり成長できたら」と力強く話した。イエローサブマリンの愛称で知られるビリャレアルの黄色のユニホームで、最大の目標であるRマドリード帰還への道を切りひらく。