本田圭佑の指摘なくとも、ライセンス問題の改善願う

ブラジル1部の古豪ボタフォゴのMF本田圭佑(34)が18日、かねて主張し続けるサッカーの指導者ライセンス制度について、ツイッターで声をあげた。

現役引退した内田篤人さんが「ロールモデルコーチ」としてU-19(19歳以下)日本代表チームを指導したことに触れた記事を引用し「だからプロのライセンスはいらんって。何で誰も動かんの?都合が色々と悪いんやろうね。育成年代のライセンスを今より厳しくすればいいだけ」とつぶやいた。

本田は選手でありながら、18年からカンボジア代表チームを実質的に率い、ワールドカップ(W杯)アジア2次予選など、アジア連盟や東南アジア連盟主催の公式戦を指導者として戦っている。

選手兼指導者として、現状のライセンス制度に疑問を呈し続けている。今年5月には、「プロの指導者にライセンスは必須ではない。任意にすればいい」とツイートした。

自身はGM的な立場で、別の監督をたてて代表チームを実質的に指揮し、その上でライセンス制度にもの申すスタンスには、本田の過去の物言いやキャラクターもあってか、批判も多い。

ただ賛同する声もあり、自分のためというわけではなく、あくまで問題提起して、改善していこうというのが本田のスタンスだ。

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Jリーグで監督を務めるために必要な日本サッカー協会の最高位のS級コーチライセンス取得には、その権利を得るための前段期も含め、結果的に何年もかかり、さらに狭き門で難易度も高い。

本田はたびたびSNSなどで改善を訴えているが、何も変わっていない。

日本で最高位のS級ライセンスでは、現状、欧州でそのまま監督を務めることはできず、実質的に欧州では通用しないという大きな問題がある。

イタリアでは今週末、19日の1部リーグ、セリエA開幕を前に興味深い発表があった。

王者ユベントスの監督に電撃的に就任した元イタリア代表のアンドレア・ピルロ氏のセリエA指揮に必要な欧州の最高位ライセンス取得を、イタリア・サッカー連盟が16日に発表した。

ピルロ氏は17年11月に現役を引退したばかり。同連盟の発表によると、かなりの好成績だったという。

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日本では、海外でプレーし、活躍する選手が増える一方、欧州で活躍する指導者は増えていないという現状がある。ここには、ライセンス制度が1つの要因として、立ちはだかる。

今後数年のうちに、10年以上海外の第一線でプレーし、日本代表としてW杯にも出場した選手たちが、内田さんのように第2の人生を踏み出すタイミングが、必ずやってくる。

現状、欧州で指導者を目指すなら、基本的に欧州でライセンスを取得するしかない。

海外組は生存競争が激しく、どのタイミングで移籍の決断を迫られるかも分からない先の見えない日々。腰を落ち着けて指導者ライセンス取得に励むことのできる選手はひと握りで、何より語学のハードルもある。

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指導者ライセンスをとにかく重視する日本サッカー協会だが、今回は引退間もない上、ライセンスを持たないとされる内田さんを「ロールモデル」という“注釈付き”ではあるが、コーチとして年代別の日本代表に迎え入れた。

これは英断で大きなターニングポイントとなるのか、それとも、ライセンスを重視しながら内田さんだけに適用されるダブルスタンダード、あしき前例となるのか? そのあたりは、じっくり見守りたい。

ただ本田にツイートで何度も何度も問題提起されなくとも、日本のサッカー界が先頭に立ち、アジアや欧州に働きかけてライセンス問題を本気で考えるタイミングにきているのではないだろうか。

それが、日本のサッカーを背負い海外でたくましく戦い続ける選手たちの未来をサポートする、せめてもの“感謝の印”の1つになるような気がしてならない。

【元サッカー担当=八反誠】