カズは「日本のペレ」ブラジルU17日系人「カズ」

U-17ブラジル代表DFとして南米選手権で優勝し国旗を掲げるクリスチャン・ケンジのツイッター

 ブラジルにもう1人のカズがいた。J2横浜FCのFWカズ(三浦知良=50)も注目する日系ブラジル人DFクリスチャン・ケンジ(17)が、登録名「KAZU」としてU-17(17歳以下)ブラジル代表で活躍している。カズもかつて在籍したコリチーバの下部組織に所属し、左サイドバックで年代別代表にも選出。3月に閉幕したU-17南米選手権チリ大会で優勝に貢献した。南米王者として出場するU-17W杯インド大会(10月6日開幕)では、同日本代表候補FW久保建英(たけふさ=15)との対決が実現するかもしれない。

 本家カズも「KAZU」に夢中になっている。「KAZUでしょ。もちろん、知っているよ」と目を輝かせた。自身も89年にプロとして21試合に出場したコリチーバの下部組織に所属する“後輩”の本名はクリスチャン・ケンジ・ワガツマ・フェレイラ。KAZUの愛称はカズのように活躍してほしいとの期待が込められている。「日本人サッカー選手=カズ」が、今もなお浸透している象徴的な存在でもある。

 カズ 僕が在籍したコリチーバだからね。目標はブラジル代表なんでしょ。ぜひ、かなえてほしいと思います。応援しています。アンダー世代の代表に入っているのだから、将来も有望でしょう。今まで、日系人でブラジルA代表に選ばれた人はいないんじゃないかな。まずは、コリチーバのトップチームに上がって、頑張ってもらいたいね。僕も元気をもらっています。

 15年のU-15(15歳以下)南米選手権コロンビア大会では左サイドバックの主力として優勝に貢献した。1次リーグのウルグアイ戦では、積極的な攻撃参加で得点も奪った。先月まで行われていたU-17南米選手権チリ大会では背番号16の上に「KAZU」の名前も入ったカナリア色のユニホームでピッチに立った。

 出場は3月5日のアルゼンチン戦のみだったが、日本代表DF長友のような運動量豊富なプレーは、首脳陣の評価を得ている。優勝を果たし、今年10月に開催されるU-17W杯インド大会の出場権も獲得。日本の至宝とされるFW久保との直接対戦の可能性もある。

 KAZUは13年にパラナ州北部マリンガ市の親元を離れ、本拠コウト・ペレイラ内にある施設で共同生活を送りながら、夢を追い続けている。「まずはコリチーバに数多くのタイトルをもたらし、その後に欧州に渡りたい。一番の目標は家族を経済的に助けること」。目標の選手には同クラブから巣立った元ブラジル代表DFラフィーニャ(現Bミュンヘン)、アドリアーノ(現ベシクタシュ)の名前を挙げた。

 カズとの対面は1度もないが「日本人のペレみたいな人」と敬意を抱いている。「日系人だから、すぐにこの愛称がついた。格好良いし、僕は気に入っているよ」。KAZUの名前を背負って、20年東京五輪ブラジル代表として来日も果たせば、先輩カズにとっても、喜びを共有することになりそうだ。

 ◆クリスチャン・ケンジ・ワガツマ・フェレイラ 登録名「KAZU」。2000年3月18日生まれ、ブラジルのパラナ州マリンガ市出身。コリチーバの下部組織に所属し、左サイドバックでプレー。U-15南米選手権、U-17南米選手権で優勝。憧れの選手は、バルセロナで活躍し、今季はトルコ1部ベシクタシュに所属するアドリアーノ・コレイア。好きな食べ物はハンバーガー。