ヘント久保裕也止まらない「ゴール取ることでしか」

 <ベルギーリーグ:ヘント1-1シャルルロワ>◇プレーオフ1第8節◇14日◇ヘント・ゲラムコアリーナ

 【ヘント(ベルギー)14日=木下淳】ヘントFW久保裕也(23)が日本人初となる、2クラブでの同一シーズン2度の2ケタ得点を達成した。ホームのシャルルロワ戦にトップ下で先発し、1点を追う前半40分、相手ハンドで得たPKを右足でゴール左に決めた。久保の裏への抜け出しが反則を誘い、本来キッカーのMFミリセビッチから「蹴りたい?」と聞かれると「蹴る蹴る」と即答。確実にゴールネットを揺らした。

 2戦連発で、ヤングボーイズでの今季前半戦の25試合12得点に続く大台到達。「個人的には良かった」とほおを緩めたが、すぐ「勝てれば最高でしたけど…」と引き分けに悔しそうな顔を見せた。それでも、1月にスイス・ヤングボーイズから移籍して15試合目で、FWペルベに並ぶチームトップタイの10点目。勢いを増した後半3分には左サイドからのクロスに対し、絶妙なボールコントロールを披露した。胸から腹あたりのトラップで相手DFを振り切り、右足でシュート。惜しくもクロスバーをたたいたが、相手のシャルルロワの番記者から「信じられない。信じられないコントロールだ」の声が上がる動きで会場を沸かせた。

 その後も久保中心に攻め立てたが、前半の退場で1人少ないシャルルロワ相手に勝ち越し点を奪えず。3-4で敗れた前節オーステンデ戦から、守備面では「1週間前の試合から言われてきた。意識していたので改善はできた」とバランスは取り戻したものの「相手に引かれた状況で崩し切れなかった」と攻撃面では再び課題に直面した。

 試合は1-1の引き分けに終わり、2試合を残して優勝の可能性が消滅。来季の欧州チャンピオンズリーグ本大会に直接出場する権利を得られなかった。同予選からの出場を争う2位クラブ・ブルージュとの勝ち点差も4と、3位ヘントは厳しい状況に立たされている。それでも得点を狙い続ける久保は「ゴールを取ることでしか、フラストレーションを解消できない」と力強く言った。