宇佐美貴史、移籍初ゴールに「マジで頭が真っ白に」

宇佐美貴史

<ブンデスリーガ2部:デュセルドルフ3-2ウニオン・ベルリン>◇10日◇デュセルドルフ

 アウクスブルクからデュッセルドルフに移籍したFW宇佐美貴史(26)が、途中出場したデビュー戦で移籍後初ゴールを挙げた。

 試合後の一問一答は次の通り。最初にドイツメディアが入り、宇佐美はドイツ語で取材に応じた。(鈴木智貴通信員)

   ◇    ◇

-最初の試合でゴール?

 (ドイツ語で)「もちろんすごくうれしいです。2-2の同点にする重要なゴールだったので。チームも勝つことができましたが、それが一番大事です」

-デュッセルドルフは首位を守っている

 (ドイツ語で)「まだ5試合ですよね?」

-とはいえ、首位です

 (ドイツ語で)「もちろん首位にいることは大事ですが、まだ多くの試合が残っています…」(日本語で通訳を介し)「でもシーズンが終わった時が大事なんで」

-試合に出られると思ってた?

 「いや、状況で…勝ってればアレかなと思ってましたけど、追いつかれて。その中で点を取ってなんとか勝たせたいなと思ってました」

-ゴールについては?

 「こぼれてくるかなって予感はあったし、練習でもああいうクロスからのシュートを毎日やってるんでそれがうまくいったかなと思います」

-ウニオンも内田が入ってからゴールが決まり、その後は自分がゴールを決めることになった

 「それについても、もちろんうれしいですし、2部にいる日本人選手の活躍も大事なことなので。まぁ試合終わってからですけれど、その結果は嬉しかったですね」

-初出場で初ゴールは

 「いやぁ…久しぶりすぎて、点が。喜び方を忘れましたよ(笑)全然一瞬、マジで頭が真っ白になって。点は取りたかったけど、デビューやったし。時間も20分くらいで、何とか結果を出せればと思ってましたけど。で、篤人君がああいう結果を出したので『やべーな』と思って。

-今日は右のポジションで入ったが。

 「いや、練習から右をやったり左をやったり、って感じで。で、昨日も監督と話をして、『右、左の両方をできるだろ?』って感じなんで。そこは、サイド(を出来る選手)は(今日の試合の)ベンチ(メンバー)で僕1人だったので。そういう部分でも、どっちかサイド(の選手)が疲れたら、どっちかのサイドで行くんやろうなと思っていたし、どっちでも準備はできていたというか。練習から左だけとかではなかったんで。右からクロスを上げる練習とかも入っていたし。まぁ割とすんなりとは入れたかなって思いますけど。

-交代で入って、あんなにすんなりうまくいくとは。

 「いや、真ん中の3人がマジでうまいんで。そこは前半から見てても思いましたけど。右ききの3枚なんですけど、右に右に展開するだけでなく、左にもボールさばけたりとか。さばけるし、運べるし、つぶせる3人が真ん中にいてくれるんで、やっぱボールは動くし、前半から見てても、自分が入った時のイメージは、すごいやっぱりしやすかったですよね。真ん中の3枚を見ていると」

-チームメートの特徴は把握できつつある?

 「ほとんどですよね、はい。名前もほぼ覚えましたし。特徴も分かりましたし。でも本当に、真ん中の3枚じゃないですかね、今首位に立てているのは。(移籍から)1週間ですけど、そこは強く感じます」

-たった1週間では、宇佐美くん自身は、自分の特徴はまだ出せてない?

 「まぁちょくちょく出せてますけど、タッチ制限のある練習が多いんで、その中で早くボールを動かす練習が多かったりとか。まぁさっきも言いましたけど、クロスシュートの練習が多かったり。あとはすごい練習の質が高いので、メニューとか。だからやっていても、1日終わった時に『サッカーしたな』っていう感覚で終われるのはいいですよね。練習メニューって本当に大事なんだって思いましたね」

-アウクスブルクよりも?

 「いや、別にどっちが良くてどっちが悪いとかではなく。バイエルンの時から、コーチをしていた(デュッセルドルフ現コーチの)ペーター・ヘアマンの練習の質は高いと思っていたし。うちはコーチが練習して監督がそれを見るっていうスタンスだってのは監督から言われてましたし、バイエルンの時の印象とか、チームメートの日本人のジャスティンから聞いたりとか。練習の質がすごく高いぶん、コンディションも上がりやすいかなって思いますけど」

-前から知っていたコーチ。だから馴染みやすさもある?

 「とは思いますね。分かってくれていると思うし、最初2~3日たった時にいきなり個人面談をされて、活を入れられたりとか。まぁ(自分のことを)思ってくれているんだなっていうのはすごく感じましたし。評価してくれているところと、厳しい言葉とを投げかけられて。まぁでも、アウクスブルクはそれすらなかったので、見てくれているなっていうのは感じますし、何とか期待に応えていきたいなとは思いましたね」

-試合後のチームメートはゴールについてなんと?

 「『おめでとう』みたいな感じでしたね。初めてのゴールやし、(自分が来てから)初めての勝利だったので、すごい『おめでとう』って言ってくれましたし。まぁ1週間くらいですけど、良い選手、良い人たちが多い気がしますね。それは1部だからか、2部だからかなのか分からないですけど、本当に支えになってくれるような選手が多い気がします」

-「厳しい言葉」というのは、「お前何してるんだ」みたいな? 

 「ホンマ、そうすね。『なんでお前より能力の高くない選手がアウクスブルクで試合に出て、お前は出れてないんだ』みたいなことを、結構言われましたね。20分くらい。20分ずっとじゃないですよ。監督とも昨日直接話しましたけど、ペーターからはそういう感じで。完全に尻を叩かれた感じですね」

-1部のクラブから来たという違いは、やっぱり見せつけたい? 

 「もちろんそれはありますし。2部と言えど、すごくレベルは高いと思うし、大きなチャンスが転がっているリーグではあるので、そういう中で、自分自身何ができるかっていうところを追求して、チームの助けにならないといけないだろうし、チームを引っ張っていかないといけない立場であることも、やっぱり意識しないといけないっていうのも言われましたし。そういう要求になんとか自分も応えてやっていかないとなって思います」

-自分に大きな期待をかけられている、というのも感じる?

 「そうですね、でもあまり自分自身が自分に大きな期待をかけることは、もうやめたんで(笑)。だから、できることを、とことんやりつくす。で、はい、そういうスタンスで今はいますし。そういう中で、そういうことを直接的にコミュニケーションも取ってもらえて、厳しくも温かい言葉を言われて、何とかしないとってのは、この1週間くらい、すごく思ってたんで、続けていくしかないですね」

-アウクスブルクは守備のタスクが多かった。今は攻撃的に行ける?

 「それは見てて思いましたね。スムーズに、カウンター気味に…だから、つぶし合いになった時にもつぶせるし、バーっとこられた時にサっと前を向いたりとか、ボールを運べるし懐も深いし、そういう真ん中の3枚……まぁ真ん中だったり、サイドバックの質でボールが動くかが決まると思いますけど、その辺は問題なさそうかなと。だからスムーズにだしやすいと思う」

-久々のゴールを1発で仕留められたのは?

 「まぁ点取りたいとは思っていたけど、まさか取れると思ってなかったですね…まぁ『まさか点取れるとは』というくらいのほうが取れるんですけどね。変に予感している時ほど取れないし。そう、だから変に気負ってなかったんですけど」

-昨日マインツの武藤選手も同じようなことを言ってたが

 「そうそうそう、力みすぎるとねぇ、取れないんですよね。『取りたいけど、取れへんやろな、今日は』って時のほうがボールがポロってきたりとか。取りたくなくても取れる時もあるし。昨日のアウクスブルクのFWみたいに前にボーンときて。まぁ不思議なもんですよね、って改めて思いますし、そういう運が巡ってくるように日頃から努力していかないと、と思います」

-W杯出場が決まってこれから1年がメンバー選考に影響してくる?

 「まぁ、こういうリーグ、チームに来て、だからこそできる成長もかなり多くあると思うし。それを感じたからこそ、こういうリーグに来れたし、W杯に出るためにというか、日の丸を背負ってロシアに行くために、ってというところを本当に意識して出した決断なんで。だから、それだからこそ、1個下のリーグを選んだというところに、自分のそういう決断の強さというか、思いの強さが出ているのかなぁ、って自分自身も思いますし。こっからJリーグに戻って、Jリーグで見込める成長というよりも、ヨーロッパに残って見込める成長のほうが大きい気がしたし、そこで得た成長でW杯にもし行けたら、十分戦えると思ったので。まぁすべてはW杯を意識しての決断です」

-さっき「自分に大きな期待をするのはやめた」と言ってたのが印象的だった

 「そうですね、過度の期待はやめましたね。もちろん期待しているんですけど…過度に期待してしまうと、足元を見失う気がするんで。まぁ自分の足元をしっかり見て、自分に何ができるかってところをしっかりと見定めて、どうすれば成長できるかってことを日々考えてやっていくしかないかなと思います」

-これまでは遠くを見すぎていた感じ?

 「それで自分自身もどんどん苦しくなっていた時もありましたし。19、20、21とかそこらへんでは。でも去年1年の経験も含めて、そういうスタンスというかね、そういうメンタリティーになっていったという感じですね」