不屈の岡崎2発 ハリル監督見たかビッグ3逆襲開始

レスター岡崎(左)はサウサンプトン吉田をかわし、この日2点目のゴールを決める(撮影・PIKO)

 レスターFW岡崎慎司(31)がDF吉田麻也(29)のサウサンプトンから2ゴールを奪い、4-1の勝利に導いた。後半24分の2点目は吉田のスキを突いての一撃だった。今季リーグ戦14試合出場で6得点、「奇跡の優勝」を果たした15-16年の5得点を早くも上回った。前日はパチューカFW本田圭佑(31)がクラブW杯で存在感を示し、ドルトムントMF香川真司(28)もゴール。W杯ロシア大会開幕まで半年。9月を最後に日本代表から遠ざかる“ビッグ3”がそろって気を吐いた。

 現在日本代表を離れている岡崎と、代表不動のセンターバック吉田の対決は岡崎に軍配が上がった。前半11分に先制点を導くパスを出し、同32分にはこぼれ球に反応して押し込んだ。10月のピュエル監督就任後では初得点。出番が不安定な中、前節に左目付近を負傷して9針縫い「ヘディングができない」という状況で、岡崎の反骨心に火が付いた。

 ハイライトは3-1で迎えた後半24分のゴールだ。吉田が一瞬、目を離したスキだった。バーディーからの右クロスにニアへと走り込み、追いすがる吉田に先んじて右足ダイレクトシュートをたたき込んだ。「プレミアに来て、何度もやろうと思っていたけど、なかなかああいう形のゴールがなかった。やっと自分のよさが出せた」。リーグ戦で1試合2得点も初めてだ。

 「最後のところで駆け引きで勝った」と胸を張る。吉田には「クロスが上がっても僕やGKフォスターには(高さで)競り勝てないからニアしか選択肢はなかったのに。岡ちゃんの特徴を把握している自分がやられてはいけなかった」と言わしめた。しかも、吉田のヘディング弾で相手に反撃ムードが生まれた8分後の決定打だった。

 チームも4連勝で8位につける。監督交代直後は「急に試合に出られなくなって、運が悪いと感じる部分もあった」と岡崎。だが「一からアピールして、良さを分かってもらえ始めたところ」と続けた。このタイミングでゴールという結果を出せたのは大きい。

 その不屈の精神はハリルホジッチ監督にも通じるのか。10、11月の親善試合4試合には招集されてないが、ロシア行きは諦めてはいない。ブンデスなどの日本代表勢が精彩を欠く中、“ビッグ3”の逆襲が始まった。

<岡崎クラブ実績と代表>

 クラブでは、レスター移籍1年目の15-16年シーズンに主力としてプレミア王者に輝いた。前節ニューカッスル戦では、途中出場でゴール前に飛び込んで決勝点となるオウンゴールを誘発。日本代表では08年10月9日のUAE戦でデビューし、09年1月20日イエメン戦で初得点を記録。W杯では10年南アフリカ大会デンマーク戦で初得点を挙げた。国際Aマッチは歴代4位となる111試合出場。釜本邦茂、カズ(三浦知良)に次いで史上3人目となる国際Aマッチ通算50得点を記録している。【山中忍通信員】