大迫勇也「日本と比べ全然タフさが違う」/岩政大樹

岩政大樹(左)と大迫勇也

 サッカー元日本代表DF岩政大樹(36=関東1部リーグ東京ユナイテッドFC所属)が、ワールドカップ(W杯)ロシア大会での活躍が期待される日本代表のケルンFW大迫勇也(27)と語り合った。

 岩政はスカパー!のサッカー情報番組「スカサカ!ライブ」の対談コーナー「今まさに聞く!」のメーンキャストとして大迫と対談。ケルンのレギュラーFWとして大柄な選手と対峙(たいじ)する大迫に、ブンデスリーガ1部で生き残るための術など聞いた。

 3月23日(金)の初回放送(23時30分~)を前に、サッカーファン必見のインタビューの一部を紹介する。

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 岩政 ドイツのサッカーの話をうかがう前に、ドイツに来る決断、ちょうど僕この前、考えてたら…、(鹿島の)退団のタイミングが一緒なんだね。僕が退団する時と。2013年シーズンで終わりだもんね。

 大迫 そうですね。

 岩政 あのタイミングって、ワールドカップの半年前だったじゃない? 一般的には、半年前にあそこで挑戦するって結構なリスクもあったじゃない? あの時ってどういう風な決断、迷いはなかったのかな?とすごく気になってたんですけど。

 大迫 もちろん迷いましたよ。ただ、代理人ともしっかり話して、代表の立場も、そんなに確立された立場じゃなかったし、だからここで、待つより攻めた方がいいかなと。攻めて、その2部で結果出せば、もし代表に選ばれなくても、次の年1部でできる。自分次第で、どうにかできるかなという話を一緒にしててだからスムーズに決まりましたね。

 岩政 実際に結果が出たわけですけど、最初の半年間、難しさの方が多かったですか? それとも、意外と最初の2部という所では、やれたっていう感触があったのか。

 大迫 そうですね、意外とやれましたね、思ってたより。トントンと結果出せたんで。すぐオファーも来ましたし。良かったですね。

 岩政 そこは半年間で、ワールドカップも当然やっぱり頭にはあって早めに結果出さなきゃってところもあったと思うんですけど、半年で結果出したというのは、大きな自信にはなりました?

 大迫 そうですね。まぁ、でもあんまりワールドカップって考えてなかったですね。もう必死でしたね。もうガムシャラに。ワールドカップよりまず、第一チームじゃないですか。チームで出られなかったら終わりなんで。ここで生き残れなかったら、もう先ないなみたいな感じでしたね。

 岩政 そこからドイツの時間が長くなっていったんですけど、ドイツのフォワードでやっていく中で、最初スムーズにいきながら、当然1部はまたレベルが全然上がったと思うんですけど、対応って、どう違うんですか? 僕ディフェンダーで、興味あるんだけど。重いのは、重いの?

 大迫 重いですよ。やっぱりタフですね。こっちの選手みんな。やっぱり日本と比べても全然タフさが違うかな。戦うし。それプラス、1部には技術がある。2部は、その技術がない分、そのタフさで補ってるみたいな。だから選手によっては2部の方が絶対やりにくい選手もいますよ。1部の選手で2部行ったら活躍できない選手、たくさんいると思います。

 岩政 へぇー。ってことは、2部から1部になった時の適応って、また少し違ったんですか?

 大迫 最初は違いましたね。ちょっと技術がついてくるんで。好きしたけど、逆にそっちの方が。ただ、1部ではどうしてもでかくて強い奴を一番前に置く傾向があるんで。そこの葛藤はありましたね、最初は。

 岩政 すごいですね。なかなか日本人選手が、こっちに来てもフォワードのポジション勝ち取るって、なかなか難しいじゃないですか。

 大迫 僕みたいなタイプは正直…、ん~なかなかですね。大きな選手がいたら、絶対監督そっち使っちゃうんで。逆に岡崎さんであったり、ああいう動いて走るタイプは、使われるかもしれないですけど、チームの色によっては。そこのもどかしさは、すごくありましたけどね。

 岩政 その時、どういう風な思いでやられてたんですか?

 大迫 まずは、自分が与えられた所でやるしかないんで。自分しかできないことをやろうとしましたね。しっかり起点を作って、そこから自分の所にボールが集まるようにしました。

 岩政 起点を作るって意味では、さっき重いって話も出ましたけど相手の対応もやっぱり多少違う? ボール取りに来ることが違う?

 大迫 来ますね。もう日本だったら止まってくれるじゃないですか。ディフェンダー止まって引くじゃないですか。あれ引かないですもん。

 岩政 それは、前向きの時も後ろ向きの時も?

 大迫 前向きの時も後ろ向きの時も。とりあえず前行って潰せばいいみたいな感じですね。最初はそうでした。でも、ただ、ちょっとずつ自分のプレーが出始めてきたら、ディフェンスが見てくれるようになりました。

 岩政 あっ、そうなんだ。

 大迫 逆に、突っ込んで来なくなりました。ターンされるとか、そういうの警戒してきてるのかな。

 岩政 へぇー。まぁじゃあ、それは相手が変えてくようになっていったんですね。

 大迫 僕のことを多分少しずつわかってきてくれてるのかもしれないしそういう所もあると思いますよ。ただ基本的には来ますね、潰しに。

 岩政 あと僕なんか見ててね。日本のサッカーとこっちのサッカー見てると1対1も当然厳しいんだけど、セカンド、サードの反応も速いように見えるんですよ。あれ、やっぱり速いんだね?

 大迫 速いです、速いです。カバー、ドイツってホントに堅いと思います。みんなしっかりと組織を守るから。ミーティングとかもカバーリングの意識とか、セカンドボールとかやっぱりすごく言いますもん、監督は。

 岩政 じゃあ1人かわしても、また次がいて、どんどん来るような感じ?

 大迫 そうですね。

 岩政 そこはやっぱ差があるってことですね。守備の仕方の部分では。

 岩政 練習とかでも違うんですか?要求も、チームでもされる?

 大迫 練習は激しいですよ。もう単純に激しい。もうガツガツ1対1、2対2、3対3しますからね。シーズン中でも。

 岩政 えー。

 大迫 なかなかないですよね、日本じゃ。

 岩政 じゃあ日常的にもう、バチバチバチバチ。

 大迫 バチバチ! 良かったです、それが良かったですけどね、最初は。慣れるから、対人に。

 岩政 ポジションもいろんな所やらされる中で、相手をかわす、自分の個性を出すことができるようになって、フォワードみたいなポジションもできるようになっていったってことですか?

 大迫 そうですね。認められることがまず、監督とチームメイトに。まずはホントに、そこが一番ですよね。そしたらもう自分の…、多少守備をさぼっても言われなくなる。そこが一番大事ですね。無理なんで、全部守備しろって言われても。うまくさぼりながら、前に残って…、ボール取った時は自分を見て、そこでボール持った時に違いを作れれば、何も言われないんで。そこだけでしたね、最初考えたのは。

 岩政 まず違いを見せて、そこで段階をおって中心になっていく感覚というのは、ご自身で、ある程度その時のチームの監督とかチームメートの信頼を得るためにいろんなことを…、計画性まで言わないけど、立ち位置を見極めながら、やっていったってことですか?

 大迫 試しながらやるしかなかった。練習の時から。わざと守備さぼったり、その代わりボール取った時に、アシストしたり点取ったりすれば、何も言われないんで。逆に残っとけって言ってくれるんで。そこはそうですね。

 岩政 そうか、そこは、もう勝負だもんね。

 大迫 勝負ですよ。逆にボール持った時に何もできなかったら帰って来いってなるじゃないですか。

 岩政 確かに。そうか、そうか。

 大迫 そこで、ちょっとずつね、変えていきましたね。

 

 ◆放送 サッカー情報番組「スカサカ!ライブ」#50リニューアルスペシャル内で放送「今まさに聞く~ケルン大迫勇也篇~前編」▽初回は3月23日(金)23時30分~25時 スカサカ!(CH800/580)※無料生放送