吉田麻也、残留争い「いい経験に」一問一答

<プレミアリーグ:サウサンプトン0-1マンチェスターC>◇13日◇サウサンプトン

 DF吉田麻也が所属するサウサンプトンはホームでマンチェスター・シティーと対戦したが、終了間際に失点し敗れた。吉田はフル出場した。

<吉田コメント>

 -プレミア残留が実現できた

 「そうですね。今季はそれだけですね、評価できるのは。今日の試合が象徴していたように、詰めの甘さというか、最後の甘さがシーズン通して尾を引いてしまったかなと思います」

 -自分自身は満足できるシーズンだったのか

 「昨季、試合に(コンスタントに)出られるようになって、大きな目標とか野心を持って挑んだシーズン、もちろん昨季よりいいものにしたいと思ったし、自分のキャリアの中でピークになるシーズンにしたいと思っていたので、満足感は全くないですけど、ここ(残留争い)を乗り越えたというのは一ついい経験になったと思います。チームとしても個人としても。残留争いはもうしてはいけないと思うし、そういうチームではないとも思うけど、さらに良くなるために、もっと勝負強さ、勝ち癖をつけていけるようなチームにならないといけないと個人的にも思うし、チーム的にもそうだと思う」

 -残留はほぼ決まっていたが、(自力には)引き分けが必要で、安心はしていなかったか

 「余り降格のことは気にしていなかったですけど、いい形でシーズンをフィニッシュしたいなと。プレミアリーグのチャンピオンが相手ですし、ということは、世界でも有数のクラブ(が相手)なので、そことやるに当たってどれくらい自分ができるのかを試したかった。あとは、(相手の)勝ち点を100に乗せたくなかったので、最低でも引き分けで終わりたかった」

 -来季に向けてこういう経験をしたチームは強さを増すと思うか

「分からないですね。たぶん(マーク・ヒューズが)残ると思うけど、誰が監督になるかで変わってくるだろうし、どれだけ選手が残るかによっても変わってくるだろうし。ちょっと分からないですね、まだ」

 -3バックの真ん中をやったというのは、少し新しい境地のようなところもあったと思うが

 「確実に1試合目よりどんどんどんどん良くなって、最後の方はほとんど難しさを感じずにプレーすることができるようになったので、割と良かったんじゃないかなって思います。ボールを捌くとか、相手にガツガツ(当たって)いくというのは少ないですけど、より集中してゲームの流れを読んで、インターセプトしたり、ラインコントロールをしたりしないといけない。頭はすごく疲れるポジションですね」

 -けがで離脱した時期は自分にとってどういう時間になったのか。ワールドカップ(W杯)イヤーという意識もあったと思うが

 「(年末年始の)連戦が終わってちょっと油断してしまったという、自分の心の隙を突かれてしまったなっていう点と、違う箇所ですけど怪我を重ねてしまって、結局ほぼ2カ月か3カ月(試合に)出られなかったので、その点はいただけないですね。今シーズン、個人的に一番よくなかった時期じゃないかなと思います。やっぱりプロである以上はピッチに出てナンボなので、稼働できないというのは一番あってはいけないことだと思うので、反省しています」

 -防げる怪我だったということ?

 「2回目の内側(側副靱帯)は(防ぐのは)難しいですけど、1回目のハムストリングは気の緩みと筋肉の緩みが比例してしまいました」

 -シーズンが終わり、次はW杯。他国より1週早く終わる。

 「一回(日本に帰って)リフレッシュして、いいコンディションを作っていけると思うし、大事なこととして、こういうタフなシーズンを終えたあとなので、しっかり頭もリフレッシュして代表モードに切り替えられるように、またエネルギーを100%、自分の持っているものを代表に捧げられるように、いい準備をしたいと思います。そのためにいいリフレッシュをしたい」

 -プレミアリーグの選手とはW杯でも対戦する。例えばマネ(セネガル代表)などよく知っているからやりやすい部分があるか。

 「経験値でいったら他の選手に伝えていかなきゃいけない立場だと思うので。やりやすいということはないと思いますけど、自分が持っている情報はもちろんみんなとシェアするし、特徴はもちろん伝えていく。逆に言えば、相手も僕のことを分かっていると思うので、どっちもどっちじゃないですか」

 -吉田選手から見てマネはどういう選手?

 「すごく真面目で野心的で向上心があって、もちろん技術、スピードというのもそうですけど、メンタリティーが非常にいい選手だと思う。素晴らしい選手ですね」

 -試合になれば、プレミアのように高い位置で(ボールを)奪いにいくか、それとも動きを見て待つのか。

 「結局スペースを与えると、ああいう選手はみんなそうですけど、今日のサネ(ドイツ代表)とかスターリング(イングランド代表)とかみんなそうですけど、スペースを与えて前を向かせるのが一番(自分たちが)苦しくなるので、コンパクトにやるのが一番いいと思いますけど、正直(日本代表の)監督が代わったばかりでどういうサッカーをするのかもちょっと分からない状態なので、(実際に)行ってみてですね」

 -吉田選手のワールドカップの目標

 「当面、日本代表はベスト16にコンスタントに入っていくというのが大事になってくると思う。そこが一番、現実的な目標だと思いますけど、理想はベスト8。まだ日本代表がいったことのないところに上ってみたいと思うし。そうしないと日本代表の評価も一向に上がらないので」

 -それが個人的な目標でもあるのか

 「僕は僕で、ベスト8に行くことが個人的には…前の大会もそうですけど、日本の新たな歴史を作ることになると思うので。イコール、それが誰もやったことないことなので、僕はそこを目標にしています。現実的にいえばベスト16に行くことが一番現実的かなと思いますけど。そこにコンスタントにいけるように。今大会だけではなくて、将来的に見て、常にベスト16に入っていけるようにしなくてはいけないと思う」

 -残留争いの中でプレーして、吉田選手もいいパフォーマンスをした。ワールドカップもあり、そこで活躍すれば次のステップアップという可能性もあるか

 「どうでしょうね。そういう話が出るような選手になればいいですけど。(しかし)怪我がいただけなかったね。あと、チームの結果がついてこないと、なかなか評価も上がらない。特にディフェンスだからね。結果が伴ってこないと」

 -高い位置でボールを奪いに行く場面が増えて、以前よりもミスを恐れないで『開き直り』みたいなものはあったか

 「開き直ってはいないですけど(苦笑)、試合をこなす中で、自分の感覚が良くなっていって、いけるとところといけないところの判断が良くなっていったのという部分はある」

 -新境地みたいな部分は

 「いつも言ってますけど、ここ(プレミア)でやることが一番のステップアップにつながるので。このリーグで。今日みたいな相手と毎回戦えるというのは、他の選手は(なかなか)やれない(経験できない)ことじゃないかなと思います。だから続けていきたいなと思うし。もちろん、レベルアップするために、W杯のアピールも大事になってくるし。でも、個人の評価というのはチームの結果に伴ってついてくると思うので。みんなで同じ場所を目指していって、結果がついてきたら、プラスアルファでそういう個人レベルで、僕だけじゃなく、他の選手もそうですが、いろいろ話が出てくるというのが一番理想だと思います」

 -ブラジルW杯から4年、サウサンプトンでレギュラーの座を掴んだ。どの点が一番成長していると思うか

 「全体ですね。ひとつは挙げられない。やっぱり経験値が一番だと思いますけど、まあ他のことも。身体も頭もいろいろ全部、高まっていったと思います」

 -日本人としては身体面でハンディがあるのかなと思うが、どう考えて、どう対処してきたのか。高さや強さや…

 「たくさんありますね。終わらなくなっちゃう」

 -来季、(W杯で勝ち進めば)スタートがちょっと遅れるらしいが、調整具合とかは

 「まあ、休むことも大事ですからね。3週間は確実に休まないと。このタフなリーグを1年続けていくのはほんとにシンドいので。身体もあちこち痛むので、一回リフレッシュして、また1年戦える体を作り上げる準備をしたいと思います。あとは、監督が引き続き一緒になれば、僕のことは十分に分かっていると思うので。代わったとしても、過去2年試合に(コンスタントに)出ているので映像を見(てもらえ)れば。プレミアリーグを経験している人(新監督)だったら、僕のことは多少分かっていると思うし。そんなに心配はしていないです」

 -前に行って潰しにいくシーンが増えているが意識してやってるか

 「そうですね、下がったら結局、最後の場面みたいにやられるので。前から取りにいかないと。それを90分続けないといけないですけどね」

 -プレミアリーグではああいう守備が必要か

 「プレミアに限らず、W杯でも結局こういう選手たちとやらないといけないので。そういう守備のオーガナイズ、アグレッシブさというのは勝ち上がっていくためには求められると思います。ただ引いて、引いて、引いてだけだったら、やっぱりキツイと思います」

(山中忍通信員)