ロシア大会でブレークする次世代スターは誰だ

ガブリエルジェズス(2016年8月10日撮影)

<ズドラーストヴィチェ!~こんにちは~(9)>

 次世代スターの誕生を見逃すな! 14年ワールドカップでは当時21歳のコロンビア代表ハメス・ロドリゲスが得点王に輝き、大ブレークした。今大会も強豪国には才能あふれる若手が居並ぶ。メッシやロナウド、ネイマールに続くスーパースター予備軍は誰か。各国記者にお薦め選手を挙げてもらった。既にブラジル代表ガブリエルジェズス(21)はマンチェスター・シティーで、フランス代表キリアン・エムバペ(19)はパリサンジェルマンで力を発揮し、今季リーグ優勝に貢献している。世界王座奪回を狙う両国にとっては、早熟ストライカーの出来が大会の鍵を握るかもしれない。

 ◆フランスFWエムバペ(19=パリサンジェルマン)

 ネイマールに「彼は天才だ。あの年齢で彼より優秀な選手はいない」と言わしめたのがエムバペだ。今季ネイマールとともにパリSGに加入し、リーグ戦27戦13点。ル・プログレ紙のジャン・フランソワ・ゴメス記者は「トップスピードが規格外。どんなDFも抜き去ることができる。そしてゴール前でとても器用だ」と特徴を語る。

 一昨季モナコで欧州CL4強入りの原動力となって名を広めた。それで昨夏はレアル・マドリードやバルセロナも含めたビッグクラブが争奪戦。「彼は控え選手になる可能性があるレアルやバルサに行かなかった。周囲は驚いたが、私はいい選択をしたと思う」と同記者はその賢明さも強調した。

 クラブでは3トップの右だが、代表では左右ウイング、センターFW、スーパーサブと役割は多彩だ。ゴールのお膳立て、FK獲得という功績も目立つ。

 ◆ブラジルFWガブリエルジェズス(21=マンチェスターC)

 ガブリエルジェズスは今季プレミアリーグで29戦13得点で、優勝に貢献した。「パルメイラス(ブラジル)では17歳ながら31戦で37得点を決めた。ゴールセンスがずばぬけている」とフォーリャ紙のパウロ・ビシニウス・コエーリョ記者。さらに「プレミアのすご腕DFを相手にしても自分のプレーができる」とラジオ・グローボのオスカル・ウリセス記者は称賛する。

 ブラジル代表ではセンターFWに定着。ただ、期待は得点だけではない。「彼とコウチーニョを使い、前線のポジションを流動的にすることで、ネイマールの動きの可能性が広がる」とESPNのセルソ・ウンゼルデ記者は、ネイマールとの“化学反応”を起こせる存在とした。

 ◆アルゼンチンMFロセルソ(22=パリサンジェルマン)

 「速さと技術を武器にしたスタイルから“メッシ2世”と期待される。頭がよく、成功する条件を兼ね備えている」(ラ・ナシオン紙アンドレス・エリセチェ記者)。左利きのセントラルMFで、15歳の時点でエバートンが獲得を望んだ逸材。今季リーグ戦33戦4得点5アシスト、前半戦は途中出場が続くも、年明けから先発に定着した。

 ◆ベルギーFWバチュアイ(24=ドルトムント)

 「今冬に移籍して正解、ドルトムントで爆発した」(フットボールマガジン誌ペーター・ツキント記者)。今季前半チェルシーで12試合2得点も、移籍後10試合7得点。コンゴ系で速さがあり、トリッキーなプレーも得意、左右どちらでも精度の高いシュートを放つ。4月に左足首を負傷し、残り試合を欠場してW杯に備えている。

 ◆ドイツMFサネ(22=マンチェスターC)

 「センセーションを巻き起こすかもしれない。ドイツ代表の中で重要な選手になるはず」(ドイツのフリー記者ティム・ミュラー氏)。今季はリーグ戦32試合10得点15アシストで、選手会が選ぶ若手MVPに。父は元セネガル代表、母は新体操ドイツ代表で五輪メダリスト。身体能力に恵まれたレフティー。

 ◆ウルグアイMFトレイラ(22=サンプドリア)

 「身長はない(168センチ)が運動量と強さを持つボランチ。機を見た攻撃参加や正確なパス、強力なシュートも魅力」(デル・ソルFMマルコス・シルバ氏)。今季リーグ戦は出場停止1試合と最終戦を除く36戦すべて先発で4得点。ボール奪取に優れる。今年3月に代表デビュー。父はサッカー解説者という。

 ◆イングランドFWラッシュフォード(20=マンチェスターU)

 「ケーンを差し置いての先発は無理でも、前線アウトサイドでスーパーサブ的なインパクトをもたらす」(ガーディアン紙ドミニク・ファイフィールド記者)。足元の技術の高い万能型FW。今季リーグ戦35試合(うち先発17戦)7得点。18歳での代表デビュー戦でゴールを挙げた勝負強さもある。

 ◆スペインMFアセンシオ(22)MFイスコ(26)DFカルバハル(26=すべてRマドリード)

 マルカ紙のミゲル・アンヘル・ララ記者は「期待の若手? イスコ、アセンシオ、カルバハル(いずれもRマドリード)…。もうみんなトップレベルで名前が知られている。スペインで名前が知られていない若手を探すとなると、ユースレベルまでいかないといないよ」と話している。

 ◆まだまだいるぞ19歳

 W杯に向けた各国予備登録メンバーの中にはエムバペ以外にも19歳の選手がいる。イングランドDFアレクサンダーアーノルドが代表歴がないものの、23人枠に滑り込んだ。モロッコDFハキミはスペイン生まれでRマドリードに所属し、今季9戦2得点。ウルグアイDFバルベルデは昨年のU-20W杯4強メンバー。日本と対戦するセネガルには15年U-20W杯4強のDFワゲ、ポーランドには左利きのチャンスメーカーMFシマンスキがいる。