モドリッチ4冠 メッシ&Cロナ10年の壁破った

「バロンドール」を受賞した、クロアチア代表のルカ・モドリッチ(ロイター)

サッカー専門誌フランス・フットボールによる今年の最優秀選手賞「バロンドール」の表彰式が3日(日本時間4日)、パリで行われ、レアル・マドリードのクロアチア代表MFルカ・モドリッチ(33)が初受賞した。ワールドカップ(W杯)ロシア大会では主将として同代表を準優勝に導き、レアルでは司令塔として欧州CL3連覇に貢献。同賞は過去10年間、ポルトガル代表ロナルドとアルゼンチン代表メッシの2人に独占されてきたが、その牙城を崩した。2位はロナルド、3位はフランス代表グリーズマンだった。

脇役に徹してきた男がサッカー界の個人では、最も輝かしいスポットライトを浴びた。レアルの欧州CL3連覇も、ロナルド(当時)らFW陣の得点をお膳立てし、背番号10ながら献身的に守備に走るモドリッチがいたからこそだった。W杯1次リーグでは鮮やかなミドル弾でメッシ率いるアルゼンチンを沈め、チームを勢いづかせ、快進撃に導いた。

「2018年は夢のような年になった」。W杯でも大会MVP、欧州連盟の最優秀選手賞、FIFA最優秀選手賞と個人賞を総なめ。「子どものころの夢はビッグクラブでタイトルを取ることだった。バロンドールなんて想像もしなかった」。少年時代に旧ユーゴスラビアの内戦により、家族で避難民として生活した時期もあり「簡単に手に入る成功などない。ここにたどり着くまで簡単なことは1つもなかった」と振り返った。

ボバン、シューケル、コバチら母国の先輩も、サビチェビッチ、ミヤトビッチ、ストイコビッチら旧ユーゴ勢の名選手も手が届かなかった称号だ。以前、代表チームの同僚ロブレンは「モドリッチがドイツ人かスペイン人ならバロンドールに選ばれるはず」と話していた。実力はありながらも、小国クロアチアでは代表チームの実績は乏しく、投票への影響力は大国にかなわないとみられていた。それを覆した。

「歴代の素晴らしい選手たちと肩を並べられて、とても誇りに思う」。ロナルドとメッシという2強の壁を壊し、エムバペら若手の勢いをはね返しての受賞。遅咲きというより、貫禄たっぷりの33歳だ。

◆ルカ・モドリッチ 1985年9月9日、クロアチア・ザダル生まれ。05年同国ディナモ・ザグレブでトップデビューしリーグ3連覇に貢献。08年にトットナムに移り、13年にRマドリードへ。レアルでは欧州CL通算4度優勝。クロアチア代表にはU-15から選ばれ、20歳だった06年にA代表デビュー、同年W杯ドイツ大会の日本戦にも出場。16年から主将。国際Aマッチ通算118試合出場14得点。172センチ、66キロ。

◆バロンドール 1956年から欧州年間最優秀選手賞として始まる。95年からは欧州でプレーしていれば他大陸出身選手も、07年からは全世界の選手が対象に。10年からFIFA年間MVPと統合されたが、16年から再び独自に選出。最多受賞はロナルドとメッシの5回。バロンドールとはフランス語で黄金のボールを意味する。