【FA杯】三笘の1・5秒「自分でも信じられないゴール」王者リバプール沈めた右アウトサイド

リバプール戦の後半、右足アウトサイドでトラップするブライトン三笘(ロイター)

<FA杯:ブライトン2-1リバプール>◇29日◇4回戦◇ブライトン

ブライトンの日本代表MF三笘薫(25)が、前回王者リバプールから芸術的な決勝点を奪った。

後半ロスタイム、浮き球で相手選手をかわしながら右足アウトサイドで打ち抜いた。21日のプレミアリーグ第21節レスター戦のミドルシュートに続く、公式戦2試合連発で今季通算6ゴール目。サッカーの母国イングランドで「三笘無双」が止まらない。

   ◇   ◇   ◇

三笘の神業がイングランド南部の港町、ブライトンの寒空を熱くした。

1-1で迎えた後半ロスタイム、クロスボールが渡った。右足アウトサイドのファーストタッチで右へ持ち出し、シュートフェイント。相手を誘うと同時にツータッチ目、右足でチョンと浮かせて左へ切り返す。そしてスリータッチ目、右足アウトサイドで浮き球をボレーシュート。ブラジル代表の名手、アリソンの左側を抜いたボールはゴールネットに突き刺さった。

この一連のプレーはわずか1・5秒。柔らかなボールタッチに瞬時の判断力とゴールセンス。「無双ドリブラー」と呼ばれるが、ドリブラーだけに終わらないフットボーラーとしての幅が、この一瞬に凝縮されていた。

試合後のインタビューには英語で応答した。

「最高の瞬間です。このゴールのおかげでチームが勝ち上がれたので、とてもうれしいです」

「あなたのスキルが詰まったゴールでした」と水を向けられると、「ファーストタッチができて、キックモーションでうまくかわせたし、自分でも信じられないゴールです」。

21日のレスター戦では鮮やかなミドルシュートを決め、1月のリーグ月間最優秀ゴール候補にノミネートされた。2週連続で週間ベスト11にも選出され、今やサッカーの母国で最も勢いのある選手の1人だ。元イングランド代表のシアラー氏が「試合ごとに影響力を増している」と言えば、オーウェン氏も「最も高い契約を結ぶべき価値がある」とツイッターに投稿。ビッグクラブが獲得に乗り出すのは時間の問題のようだ。

「三笘の1ミリ」で注目されたW杯を終え、一回りも二回りも大きくなった。3年後の次回26年W杯へ、森保監督が新たに求めているのは「個の強さ」。世界的スターが集うイングランドを舞台に「今はどんな相手が来ても戦える自信があります」と言い切る。

三笘無双が、日本サッカーの新たなアイコンとなりそうだ。