元スパイク担当者が語る三笘薫のこだわり 今日開幕のプレミアリーグで新相棒と昨季超えに挑む

三笘薫のスパイク担当者を長く務めたプーマの合志卓也さん(撮影・佐藤成)

昨季プレミアリーグブライトンで7得点5アシストと大ブレークした三笘薫(26)が、今日12日にルートンタウンとの新シーズン開幕戦を迎える。

昨季の活躍の秘訣(ひけつ)を探るため、スパイクのスポンサー契約を結ぶプーマで長く三笘を担当した合志卓也さんに、三笘のスパイクに対するこだわりなどを聞いた。

昨年のワールドカップ(W杯)カタール大会で話題になった「三笘の1ミリ」。ゴールラインギリギリにボールがかかっているスタジアム上部から撮った写真で、三笘の愛用するスパイク「ULTRA ULTIMATE」も大きな注目を浴びた。

合志さんは「あれはラッキーでしたね(笑い)。こちらからプロモーションをかけたわけではないので」と懐かしむ。

同社が三笘のサポートを始めたのは大学2年の時。合志さんは、当時からベルギー1部サンジロワーズでプレーした21年シーズンまで三笘の担当を務めた。

当時から三笘がスパイクに求めるのは「軽さ」だったという。「やっぱり一番は軽さっていうところです。本当に何よりも一番の軽さっていうのはずっと学生の頃から言っていて、そこは一番求めているところですかね。本当に微差の差でもちょっとした差でも、気になるみたいです」。

同社の中でも、三笘は最軽量の「ULTRA」シリーズを好んで履いている。「このULTRAに関してはスピードというところで、しっかり前に推進力を持たせられるように、(ポイントが)V字になっているんですけど、このV字がしっかりとこの地面を蹴り出すときに引っかかるんです。あとはアウトソールをやわらかい素材と、硬い素材に使い分けることによって反発がより生まれやすくなる。つまり、かけ出したときに推進力が生まれるようにっていうのがスピード的な特徴ですね。あとはその軽さをもたらすためにアッパーの素材をウーム系素材にしているのも1つポイントです」

圧倒的なスピードの一方で、繊細なボールタッチも三笘の特徴だ。「スパイク自体もボールタッチをちゃんとサポートできるようにっていうので、アッパー全体に加工してるんですね。パワープリントっていう弊社独自の素材のコーティングなんですけど、アッパーの部分の上にこういった実線のコーティングをすることで、ボールタッチをしっかりとサポートできるようにする。ちょっとギザギザしてるんですけど、ウーブン素材の上にこの樹脂の素材をコーティングしているので、実際にボールタッチをするときにちゃんとボールとスパイクで摩擦しやすいようにっていうところもポイントになってます。特にこのULTRAに関してはドリブルをするときにこの前足部をよく使うので、三笘選手含め、ドリブルっていうところに関してはちゃんとサポートできるようになっています」

三笘は、足の感覚を大切にするため、アウトソールの柔らかさも重視しているという。「安定感を高めるために、(靴の)中の黒い板を入れているんですけど、最初そこが硬いと、本人はそこは気に入らないみたいで、慣れさせるまでに時間がかかるとは言っていましたね。なるべく柔らかい方がいいですと。履いていくうちに柔らかくなっていくんですけどね。1つポイントかも知れませんね」

三笘は、サイズの微調整こそあれど、素材の変更など、自身専用モデルなどを製作していない。市販のものと同じものを使用している。「基本的に売っているものと同じものを履いてもらっています。売ってる状態のまま履いてくれてるっていうのは、結構1つ特徴かなと思います。なので、お客さんも全く一緒のものを履けますね」。

さまざまなトッププレーヤーを相手にする中で、合志さんは、10代の頃の三笘の印象をこう語る。「やっぱり真面目だし、いろいろ自分のこと考えているなっていうのは、当時の頃からやっぱ、僕は感じていて。自己分析もすごいちゃんとしてますし、今の自分にとって何が必要なのかっていうのは大学生のときから、やっぱ口にしてたし、実践したし、こういう子はトップレベルになっていくんだなっていうのは、当時の頃からでしたね」

新シーズンからは最新モデルの「ULTRA ULTIMATE」を履いて世界最高峰のリーグに臨む。

新作(212グラム)は、前作(188グラム)に比べて、24グラム重くなっているものの、独自素材のパワーテープを、足の構造に基づいてアッパーに施して、フィット感を高めたという。「若干重くはなっているんですけど、フィッティングが上がっている分、スピードをもたらすことができるっていう感じですね」。6月にプロモーション用に着用した際にも三笘はそのフィット感を絶賛していたという。新シーズンに向けてアップデートされた相棒とともに、昨シーズンを超える成績を残していく。【佐藤成】