ビニシウスが涙ながらに人種差別問題に言及「時々プレーへの意欲や意志が薄れる」「闘い続ける」

ビニシウス(2022年12月9日撮影・PNP)

レアル・マドリードのブラジル代表FWビニシウス(23)が人種差別問題について、「時々プレーすることへの意欲や意志が薄れてしまうことがある」と話した。

ブラジル代表は26日、Rマドリードのホームスタジアム、サンティアゴ・ベルナベウでスペイン代表と対戦する。この一戦を翌日に控えた25日、ビニシウスが記者会見に出席し、人種差別に関する多くの質問に答えた。そのもようをスペイン紙アスが伝えている。

ビニシウスはまず、侮辱的な言葉をたくさん浴びせられる選手になっていることについて、「それは毎日、すべての試合、そして僕の試合で毎回起こっているとても悲しいことだと思う。またそれは僕やスペインだけではなく、世界中で起こっていることだ。僕の国では黒人であることの難しさがある。それは僕の父にも起こっていたし、肌の色のせいで雇ってもらえないこともあった。いつも白人が選ばれるんだ。僕の周囲で起こっていることすべてに対して、多くの侮辱を受けている。人種差別主義者は自由で、糾弾されることはない。日が経つにつれ、自分が受けているあらゆる侮辱のせいで悲しくなっている。僕はそのことに気づいているし、彼らが僕のことを選ぶので、僕は闘っている。近い将来、そのようなことが他の誰にも再び起こらないように僕は闘っているんだ」と返答した。

続いて多くの選手に支持されていることについて、「スペインの選手全員のサポートに感謝しているよ。人種差別はスペインだけでなく、一般的にもたくさんある。多くのスペイン人選手が日々、僕を助け、メッセージを送ってくれ、インタビューに応えてくれるようになっている。僕はいつも国際サッカー連盟(FIFA)、南米サッカー連盟(CONMEBOL)、欧州サッカー連盟(UEFA)などが、ブラジルサッカー連盟のようにもっといろいろなことができるのではないかと考えてきた。すべての貧しい人々のために戦いたいし、メディアと話をする時に、そのことについて話す必要がないように変わってほしいと思っている」と見解を述べた。

ピッチでの振る舞いについては、「もちろん改善する必要があるが、僕はまだ23歳だし、それは自然なプロセスだ。若くしてブラジルを出たので、人種差別についてあまり学ぶことができなかったが、スペインでは勉強できる。時々プレーすることへの意欲や意志が薄れてしまうことがある。でも闘い続けたい」と話しつつ涙を流した。

またビニシウスは最近の試合で観客から人種差別的な行為を受けていることについて、「もしそのようなことをする人たちを罰するようになれば、みんなにとってすべてが良くなるはずだ」と訴えた。

そしてブラジル代表の一員としてサンティアゴ・ベルナベウでプレーすることについて、「ずっとプレーしたいと思っていた代表のユニフォームを着て、自分のホームで戦えるなんて夢のようだ。スペインは世界最高の代表のひとつであり、僕たちが対戦するのは久しぶりだ。イングランド戦のような完成度の高い試合になることを期待している。対戦できて本当に嬉しいし、ブラジルが勝者になれることを願っている」とスペイン戦を楽しみにしていた。

(高橋智行通信員)