メジャーリーグサッカー(MLS)のLAギャラクシーで契約最終年を迎えているDF吉田麻也(38)が、背水の覚悟と今後の展望について語った。今年のW杯ではサポートメンバーとして日本代表に貢献。ギャラクシーでは主将として24年に全米チャンピオンのタイトルを獲得したが、前年に続き、今季も苦しい戦いが続いている。UEFA(欧州サッカー連盟)のB級ライセンスを取得し、将来的な指導者としての道も視野に入れる中、現在の心境を吐露した。(取材・構成=斎藤庸裕)
南カリフォルニアの強い日差しを浴びながら、吉田はピッチで精力的に汗を流していた。8月24日、38歳になった。日本サッカー界を背負ってきたチャレンジャーは、現役生活の晩年を迎えている。21歳の頃から欧州リーグで活躍し、6カ国を渡り歩いたベテランは今、何を思うのか。
「いつかは(現役引退が)来るので。自分もそこに近づいていることは理解してます。どういう風に終わるかは人それぞれ。終わりを決めるのは自分だと僕は思っているので」
LAギャラクシーとの契約は今季まで。延長オファーはまだない。選手としての今後のビジョンは-。
「分かりません(笑い)。自分がどこまでやるかは全く定まっていないので、今は毎日、ここのピッチに立つ度に全てを出し切ろうと考えて。W杯まではW杯に行くことを目標に、毎日ここに足を踏み入れていたんですけど、終わってからは毎日、自分の持っているものを出す、ということを目標にしています」
今年のW杯直前の5月31日には、壮行試合(アイスランド戦)でプレーし、前半14分に交代。両チームの選手から拍手と抱擁を受け、日本代表としてのラストピッチを花道のセレモニーで見送られた。
「自分がやってきたことへの誇り、同時にこれが最後なんだっていう寂しさ、その2つの気持ちの間にいましたね。貢献した選手に対しての、1つの伝統になっていけばいいと思うし、もっともっと国から評価されるような、自分の戦ってきたことが評価されるような環境を作っていけたらいいなと思います」
国を背負う次世代へ、功労者として願いを込める。圧倒的なキャプテンシーと厚い人望。将来的な代表監督としても候補に挙がる。
「ライセンスだけは取ろうと思ってます。じゃないと、やりたいと思った時にできない。代表監督をやるにしても、まずはどこかのクラブでやらないといけない」
先を見据えているようにも思えるが、選手として勝つことへの情熱は失っていない。むしろ、再燃した。W杯では、サポートメンバーとして日本代表に同行。選手として、プレーする機会はなかった。初優勝を目指しながら、ベスト32で敗退。それでも、心に響くものがあった。
「日本代表っていう場所がやっぱり特別だなって改めて感じましたし、いろんな人の思いが強い分、熱量もすごくて。自分自身、エネルギーみなぎるような毎日を送ることができたっていうのは、すごい貴重な時間になりましたね」
強豪オランダと引き分け、グループリーグを無敗の2位で通過。決勝トーナメントの初戦でブラジルに敗れたが、欧州、南米のサッカー王国に戦いを挑む代表選手たちの気概は、昔の自分とも重なった。
「日本代表に加わったことが、自分のモチベーションを維持するうえですごく助けになりました。情熱と、若い頃のようなメンタリティーも取り戻しました。面白い話ですけど、本当なんです。素晴らしい環境に行ったことで、すべてが変わりました。あの夏の後、自分自身をよりプッシュできるようになった」
同世代で欧米リーグでプレーしているのは吉田ただ1人。それでも、日本代表でともに戦ってきたFC東京所属の長友佑都(40)が現役続行を表明したことは、励みになっている。
「刺激にはなりますけど、僕と彼はポジションもタイプも違うので。彼がやっているから、自分もやりたい、というのはあんまりないですね。ただやっぱり、同世代が辞めた時は寂しい気持ちになるので、心に結構刺さるんですよね。そういう意味では、佑都みたいに頑張ってくれている人を見ると、頑張ろうとはやっぱり思います」
所属するギャラクシーは今季、プレーオフ進出の当落ラインで苦しい戦いが続いている。ここ最近では、吉田もベンチスタートや途中出場の起用となっている。逆境に立たされても挑戦を続け、数々の功績を残してきた背番号4。まだまだ、燃え尽きていない。