男子100メートルは、慶大4年の永田駿斗(22)が向かい風1・4メートルの条件下、10秒34で初優勝を飾った。

17年世界選手権男子400メートルリレー銅メダリストの多田修平(22=関学大)は10秒36の3位、関東学生対校選手権を制した注目の1年生・宮本大輔(東洋大)は10秒45の6位だった。

永田は「最後に日本一になれてうれしい」と喜んだ。ジャカルタ・アジア大会では慶大OBが大活躍。山県亮太(26=セイコー)が100メートルで日本歴代2位タイの10秒00の銅メダルを取れば、小池祐貴(23=ANA)も200メートルで日本歴代7位の20秒23で金メダルに輝いた。長崎・諫早高からAO入試で慶大に進学した男は「慶応のOBはすごくて、現役は何をやっているんだとしたくなかった。(先輩の)勢いに続こうと思った」と話した。

昨年6月。多田が追い風4・5メートルの参考記録ながら9秒94を出した時、一緒のレースを走った永田は10秒30の7着だった。同学年としては、悔しいだけ。「1週間は寝付けなかった」と当時を振り返る。今年の関東学生対校選手権後から、走り幅跳びで84年ロス五輪7位の臼井淳一氏(60)からも助言をもらう。アジアを制した小池も指導する同氏からは、決して全力では走らず、力を抜きながら走って、正しい接地や感覚を体に染み込ませた。それは小池が飛躍した練習法と同じだった。そして迎えた最後の日本学生対校選手権。準決勝では向かい風0・3メートルの条件下で、10秒36と自己記録を100分の5秒更新すると、決勝では、1年3カ月前には打ちのめされた多田を倒した。

卒業後も競技を継続する。「オリンピックを狙えるところまでいきたい」。偉大なOBの脅威となる存在を目指していく。