女子やり投げで、北口榛花(はるか、21=日大)が、大会新連発の離れ業だ。

競技開始の1投目。博多の空に「いきま~す!」の声が響いた。北口がルーティンとしている大きなかけ声から助走に入った。豪快に右腕を振るうと、やりはぐんぐん伸びる。60メートルラインを超えて、大会記録62メートル36(12年海老原有希)を示す黄色いラインもオーバー。いきなり大会新の62メートル68をたたきだした。記録を確認すると、両手を振り上げるキュートなしぐさで喜びを示した。1投目で早くも優勝をぐっと引き寄せる“秒殺スロー”だった。

「令和のヒロイン」の勢いは止まらない。4投目でも再びビッグスロー。1投目で樹立した大会新を今度は1メートルもオーバー。63メートル68と記録を伸ばした。北口は両手の指を開いて、自分の顔の前でパンパンと控えめに拍手。柔らかい笑顔とは裏腹に記録の面で完全な「独走」態勢に入った。

大器として将来を嘱望されたが、けがなどに泣かされて、16年リオデジャネイロ五輪は出場できなかった。しかし今年5月6日の木南道孝記念で、5投目に従来の日本記録を50センチ以上も更新する64メートル36をマーク。東京五輪の参加標準記録64メートル00を上回る衝撃の一投だった。今冬にチェコへの短期留学などで開眼。優勝候補筆頭として臨んだ日本選手権でビッグスローを連発した。