【ロンドン=上田悠太】陸上男子100メートルで小池祐貴(24=住友電工)が日本人3人目となる9秒台をマークした。決勝で9秒98で4位になった。

5月19日のセイコーゴールデングランプリ大阪では自己記録を0秒13縮める10秒04を出していた。勢い十分で、驚きの成長曲線を描いている。19日には「いつもの前日より1、2割増しで体が動いている」と好調ぶりをうかがわせていた。世界トップレベルのメンバーと走った中で、10秒の壁を突破した価値も大きい。

北海道・立命館慶祥高時代は桐生祥秀(23=日本生命)のライバルとも称されたが、最大限のスピードで走る練習を重ねたこともあり、慶大進学後は、けがを繰り返し、伸び悩んでいた。17年6月から84年ロサンゼルス五輪走り幅跳び7位の臼井淳一氏(61)の指導を受け、飛躍の契機をつかんだ。6割程で、余力を持って走る練習を繰り返し、正しい接地、体の動き方を染み込ませた。慶大卒業後も指導を仰ぎ続け、進化を続けている。

本職は昨夏のジャカルタ・アジア大会も制した200メートル。ただ、100メートルで快記録を刻んだ。6月7日にはサニブラウン・ハキーム(20=フロリダ大)が9秒97の日本新記録を樹立したばかり。日本の男子スプリント界は完全に新たな時代に突入した。