【ロンドン21日=上田悠太】金メダルへの期待が膨らむ快走だった。男子400メートルリレーで日本は37秒78の2位に入った。

17年世界選手権を制した英国には0秒18及ばなかったが、日本歴代3番目の好記録。第2走者小池祐貴(24=住友電工)、第3走者桐生祥秀(23=日本生命)の9秒台コンビが見事なバトンワークを披露。秋の世界選手権(ドーハ)へ向けて弾みを付けた。9月1日には新たな試みとして代表候補を集めた記録会が開催されメンバーの6人が絞り込まれる。

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9秒台コンビが流れるようにつなげた。第2走者の小池は勢いよく駆け抜けた。左手のバトンは、スピードに乗る桐生の右手に完璧なタイミングで収まった。中盤で流れを演出し、日本歴代3番目の快走。昨年0秒48の大差をつけられた英国には敗れたが、差を0秒18に縮めた。代表では初の第2走者だった小池は「しっかり走れた。(英国も)離れている感じがない。個では(差が)縮まっている」。桐生は「38秒切りの最低限の目標はクリアできた」と語った。

今季は2レースとも第3走者小池→アンカー桐生で挑んでいた。そこを変更したのは、今大会はけがもあり欠場したサニブラウンとの融合を見据えて。世界選手権で、100メートルの自己記録9秒97を持つサニブラウンはアンカーでの起用が最有力。金メダル獲得へのジョーカーを融合させる準備を整えた。まだ同10秒00の山県も控える。まだ記録が伸びる余地はある。

サニブラウン、桐生、小池は世界選手権代表入りが当確だが、残る3人は“最終テスト”で見極める。日本代表候補が参加する記録会を9月1日に実施。もちろん過去の実績も考慮されるが、その直接対決で調子も含め見極められる。舞台は山梨・富士北麓公園陸上競技場。記録が出やすいとされる標高約1000メートルの準高地だ。100メートル以外にも、世界選手権の参加標準記録突破を目指す選手が集い、200メートル、400メートル、400メートル障害などの種目も実施される予定という。日本陸連の土江五輪強化コーチは「37秒4切りで金は70%。そこが見えてきたと思う」とうなずいた。金メダルへの道筋は、明確に見えている。