男子100メートルは9秒98の前日本記録を持つ桐生祥秀(23=日本生命)が10秒05(追い風0・9メートル)で優勝した。日本記録が4つ誕生した大会の大トリの種目だった。

桐生は「あれだけ日本記録が出ていたので、ちょっと花を咲かせたいと思った。そこは残念」と振り返った。今回の舞台は2年前の日本人初の9秒台を出した福井県営陸上競技場。今や「9・98スタジアム」との別名も付く場に、その時以来の凱旋(がいせん)レースでもあった。

ピンがない新スパイクも実戦で初導入した。足裏に歯がなく、代わりにカーボンファイバー素材のフジツボのような突起があるもの。数本配置された金属製のピンで地面を捉えることで推進力を得る従来のスパイクの概念を覆す。桐生は「試合で履くのは初めてでドキドキした。ピンなしでも走れるのが分かった」。1カ月半後の世界選手権(ドーハ)での使用も視野に検討していくという。