男子100メートルの小池祐貴(24=住友電工)は第10戦ロンドン大会で9秒98を出していたが、今回は10秒31で予選落ち。400メートル障害の安部孝駿(27=ヤマダ電機)は50秒36で6位、走り高跳びの戸辺直人(27=JAL)は2メートル19で7位と、日本選手は全員振るわなかった。

全体的な記録も低調で、今シーズンのダイヤモンドリーグで初めて今季世界最高が誕生しなかった。気温20度前後で風もそれほど強くなく、気象条件はそこまで悪くなかった。世界陸上ドーハ大会まで1カ月という時期で、追い込んだトレーニングをしている選手が多かったのかもしれない。

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女子200メートルは豪華メンバーが見応えのあるレースを展開した。

4レーンに100メートルで今季世界最高を持つシェリー・アン・フレイザー・プライス(32=ジャマイカ)、5レーンに200メートルでダイヤモンドリーグポイント2位のディーナ・アッシャー・スミス(23=英国)、6レーンに400メートルの今季世界最高を持つショーナエ・ミラー・ウイボ(25=バハマ)が入った。長身のミラー・ウイボ、中背のアッシャー・スミス、小柄なフレイザー・プライスの並びは、得意種目が異なる3人ということで注目を集めた。

スタート直後はミラー・ウイボとアッシャー・スミスが先頭を争い、コーナーの出口ではアッシャー・スミスが半歩リードしていた。フレイザー・プライスは武器であるスタートで失敗したのか序盤で2人から大きく後れたが、コーナー終盤から一気に差を詰めてきた。

直線に入るとフレイザー・プライスがアッシャー・スミスに並びかける勢いだったが、その勢いは最後までもたずに減速。代わりにミラー・ウイボのスピード持久力が発揮され残り40~50メートルでトップに立って逃げ切った。

ミラー・ウイボ22秒24、アッシャー・スミス22秒36、フレイザー・プライス22秒50と等間隔でフィニッシュした。

ミラー・ウイボは「スタートが想定より遅くプラン通りにレースは進まなかったけど、勝てたことで気持ち良く次に向かっていける」とコメント。アッシャー・スミスは「最高の400メートル選手と最後まで競り合うことができてハッピー」と言い、フレイザー・プライスは「200メートルのスキルをマスターするには時間がかかるけど、もっと良くなると感じている」と話した。

3人それぞれに、自身の専門種目にも生かせる収穫があったようだ。

日本人3選手はダイヤモンドリーグポイント争いの順位も下げてしまった。

小池の今季累計ポイントは9点のままで8位から10位に。最終戦(チューリヒ=8月29日)への出場資格を得ることはできなかった。

安部は10点、戸辺は9点でともにシーズン8位。まだ出場者は発表されていないが、次戦パリ大会(24日)でポイントを取らないと最終戦進出は難しくなった。

バーミンガム大会では実施されなかったが男子棒高跳びで、山本聖途(27=トヨタ自動車)が現在6位。日本選手では唯一最終戦出場を決めている。

◆今季の女子200メートル

リオ五輪女子100メートル・200メートル2冠のエレイン・トンプソン(27=ジャマイカ)が、6月のジャマイカ選手権で優勝したときの22秒00が今季世界最高。なぜか21秒台を誰も出していない。

ダイヤモンドリーグは1・2戦と連勝したアッシャー・スミスが、バーミンガム大会の2位で累計29点とし、同大会4位に終わったダフネ・シュキッパーズ(27=オランダ)を逆転して1点差のトップに立った。

だが今最も調子が良いのはミラー・ウイボで、7月のモナコ大会、バーミンガム大会と2連勝している。

9月27日開幕の世界陸上ドーハ大会は混戦になるか。