陸上男子100メートルの日本記録保持者で、米フロリダ大に拠点を置いているサニブラウン・ハキーム(20)が15日、プロ転向を表明した。

20年東京オリンピック(五輪)へ向け、さらなるレベルアップを目指すことが理由。スポンサー契約、レース選びなど活動の幅が広がる。その決断に陸上界の伝説ウサイン・ボルト氏(33=ジャマイカ)も「見守りたいと思うよ」と期待した。

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8カ月後に迫った東京五輪で輝きを放つため、サニブラウンが大きな決断を下した。自身のツイッターを更新し「プロの陸上選手になることは、陸上を始めてから目標の1つでした。より陸上に集中できる環境に身を置いて、高いレベルで競技に取り組み、プロという厳しい世界で結果を出していけるようにベストを尽くしたいと思っています」とつづった。現時点でスポンサーや新たな所属先は未定という。

プロ活動をしていくために、強力なタッグを組む。この日、サッカー日本代表MF香川、バドミントン日本代表桃田らが所属するマネジメント会社UDN SPORTSとの契約も発表された。今後は全米大学選手権など全米大学体育協会の大会には出場できなくなるが、レベルの高いレースの出場機会増加、スポンサー契約による環境面の充実などが期待できる。

その上で「学業は続けます」と記した。ホロウェイ・ヘッドコーチら指導者との信頼関係は変わらず厚い。しかし、まだ結論は出していないが、フロリダ大に残る可能性も、離れる可能性もあるという。これから年内をめどに、さらなる成長につながるベストな結論を模索する。

100メートルで9秒97の日本記録、200メートルで日本歴代2位となる20秒08の自己記録を持つサニブラウンは東京・城西高時代から「地上最速」を目標にしてきた。そのボルト氏も都内のイベントで、サニブラウンの決断を聞き「プロフェッショナル? オッケー。見守りたいと思うよ」と期待を寄せた。高校卒業後、海を渡った男は、さらなる挑戦を貪欲に続けていく。

▼陸上の主なプロ選手 男子短距離では桐生祥秀、ケンブリッジ飛鳥らがプロとして活動。マラソンでは大迫傑、川内優輝らが代表的。