男子マラソンで2時間6分54秒の自己記録を持つ井上大仁(27=MHPS)が19日、長崎市内で、東京オリンピック(五輪)の出場権を目指して出場する東京マラソン(3月1日)へ向けて会見した。

残り1枠の代表入りの最低条件となるのは、日本記録2時間5分50秒を上回り、かつ日本人トップであること。井上は「海外勢のハイペースの展開にどれだけついていけるか。そこで勝負をする。タイムは日本記録が1つの目標。それ以上のレベルを求めていく。今できる限りのことをやり、優勝争いに絡めたら」と話した。自己記録2時間2分48秒のビルハヌ・レゲセ(エチオピア)らで形成されることが予想される先頭集団に付いていく意向を示した。

29位に沈んだマラソン・グランドチャンピオンシップ(MGC)の前は、体が思うように動かなかった時もあって緊張感が漂っていたが、この日は和やかな表情だった。「練習、準備はできている。無理せず体を動かせている。やることはやってきた」。その表情が順調な調整を物語っていた。東京マラソンに向けても、新型コロナウイルス、シューズの注目も含め、さまざまな話題が飛び交っているが、「騒いでもしょうがない」。目の前の練習に集中できている。

東京には過去2回出場。初出場だった17年はレース前こそノーマークの存在だったが、日本人トップで同年の世界選手権(ロンドン)の切符をつかんだ。しかし、全体の順位は8位で「世界との差を意識させられた」という。翌年の大会では2時間6分54秒の自己記録をマークしたが、日本人2位。設楽悠太(28=ホンダ)の日本新記録(当時)となる2時間6分11秒の快走に屈した。「まだまだ自分の力の弱さを痛感した」と話す。昔から悔しさを糧に、高いレベルを追い求め、成長を続けてきた。3度目の東京で輝きを放ち、夏に札幌を駆け抜ける。